MONEY VOICE
から紹介させていたきます。
安倍再登板、五輪中止、ワクチントラブル……新年の9大ブラック・スワンに要警戒=斎藤満。
プロフィール:斎藤満。
1951年、東京生まれ。
グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任。シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
その1:《1月6日の開票結果でまさか》
何が起きるかわからない源は、やはり米国のトランプ氏です。そのあたりから考えてみましょう。
米国の大統領選挙では、12月14日に選挙人投票が行われ、バイデン氏が270の過半数を超える300人超の選挙人によって選ばれた、と見られています。しかし、その結果は新年1月6日に議会で開票されるまでわかりません。前回は民主党選挙人の中にクリントン氏ではなくサンダース議員に投票した人もいたと言います。
もし今回もバイデン氏以外の人に投票する人がいて、バイデン氏が270票に達しないと、下院での選挙となります。下院では各州の代表1人による投票となり、共和党が多数をとる可能性があります。その場合はトランプ大統領の再選、ということになります。可能性は小さいと思いますが、そうなると市場は少なからず混乱しそうです。
その2:《トランプ大統領の厳戒令》
1月20日の任期までは、トランプ氏が何をしてくるかわかりません。
トランプ氏支持の「レッド・アメリカ」とバイデン氏支持の「ブルー・アメリカ」の対立が高じ、内乱となり、トランプ大統領が戒厳令を出す可能性もゼロではありません。現代版『南北戦争」で、選挙のやり直しに発展するリスクもゼロではありません。
その3:《バイデン氏、中国疑惑爆発》
バイデン政権が無事に成立しても、その後バイデン氏の子息、ハンター・バイデン氏の中国疑惑の捜査が行われると思われます。凄腕のシドニー・パウエル検事が担当となると、かなり手ごわい捜査となります。副大統領であった父バイデン氏の威光で資金を得ていたとなると、親子双方の責任問題となります。
バイデン氏の責任が問われ、弾劾となる場合、弾劾を発議するのは下院で、そこは小差で民主党が優位ですが、その多くが民主党左派の議員です。中道のバイデン氏に批判的な左派の何人かが寝返ると、弾劾提訴が通ってしまいます。
上院は共和党が50以上の議席を持っているので、有罪判決となる可能性は十分あります。中国疑惑が爆発すると、バイデン政権が窮地に追いやられます。
その4:《ワクチントラブル発生》
つぎにコロナ関連の問題で何が起きるか。新型コロナのワクチン如何で大きく世界が変わる可能性があります。
しかし、今回は新型コロナの感染確認から1年足らずで作られたワクチンで、しかも米英のものはRNAに作用する新しいタイプのものなので、中期的にどんな副反応が出るかわからない面があります。短期的にも多くの人が頭痛、悪寒、倦怠感、発熱などを訴えています。しかも、ファイザー社製のものはマイナス75度での保存が求められ、対応施設のあるところしか使えません。
このため、ワクチン接種に消極的な見方も多く、ワクチンの成果、副反応を見定めるのに長期間かかる可能性があります。
その過程でワクチンの問題が露呈でもすれば、また振り出しに戻り、社会活動、経済行動が新年も大きく制約される形になります。
問題が出なくても、21年中に米国で集団抗体を得るまでには至らないと思われます。
その5:《抗ウイルス薬、承認》
その一方でポジティブ・サプライズがあるとすれば、抗ウイルス薬が出る可能性です。世界の協力の下で、コロナの遺伝子分析、変異分析が進んでいます。コロナの弱点が見つかれば、そこから新型コロナ用の抗ウイルス薬が作られる可能性があります。
これが日本で生産、承認されると、コロナはインフルエンザ並みの扱いに法的な位置づけを変えられます。経済、社会行動はかなり自由になり、医療ひっ迫も改善されます。
その6:《安倍再登板》
また、日本の政権がらみで何が起きるか。
桜前夜祭に関して地検が不起訴処分とした安倍前総理については、2つの相反するシナリオが裏で進んでいます。
1つは、再登板説です。持病悪化というのは嘘で、米国含め政治圧力で降ろされたと見られています。もしどんでん返しでトランプ再選となれば、安倍再登板も無視できなくなります。本人はまだ十分色気があると言います。
その7:《安倍前総裁、起訴》
反面、安倍前総理には依然として起訴されるリスクが残ります。確かに地検は不起訴処分としましたが、多くの国民は納得していません。黒川元検事長と同じように、検察審査会にかけられ、そこで「起訴相当」となれば再捜査となります。そこでまた不起訴となっても、改めて検察審査会が「起訴相当」を決めれば、起訴されることになります。
その8:《東京五輪、開催中止》
菅政権は何としても夏のオリンピック・パラリンピックを開催したい意向と言います。オリンピックのために多くの外国人が日本を訪れ、航空会社や各地の観光地が潤う面も含めて、オリンピック需要がGDPを0.4%近く押し上げると期待しています。
また翌年には北京で冬季五輪が予定されているので、再延期はできません。
これに対する最大の不安がコロナの感染状況です。日本でワクチンが承認され、接種が可能になるのは早くて3月になると言います。ワクチンによっては2回目の接種までに1か月近く間を置くものもあり、効果が表れるまでの時間を勘案すると、オリンピックまでに集団抗体を得るには、承認後1日150万回以上のワクチン接種が必要な計算になります。これは容易でありません。
また世界5大陸から選手を迎え入れるには、それぞれの地で感染が収束し、代表選手の決定、準備、派遣が可能とならなければなりません。
世界にワクチンが普及するのに時間がかかることを考えると、選手を派遣できない地域が少なくないと見られます。政府の意に反して開催できない事態も想定しておく必要があります。
その場合、菅政権にも大打撃となります。
【関連】安倍に続き菅総理が消える日。「桜」と「米国の一刺し」で総辞職へ=斎藤満。
その9:《火山噴火》
自然界ではどうか。数か月前まで活発に噴火活動を見せていた小笠原諸島西之島の活動が弱まってきたのと合わせるように、伊豆諸島の利島近海で連続して地震が発生しました。
このあたりで海底火山が噴火するのか、その延長線上の富士山で火山活動がまた活発になるのか、気になります。特に、この冬、富士山では雪が降ってもすぐ溶けて冠雪がいつになく遅くなっています。マグマが上昇しているのでしょうか。
富士山噴火のシミュレーションはすでにあって、東京も交通がマヒするほどの灰を被り、経済機能が停止するリスクが高いと言われます。年末28日には鹿児島県諏訪之瀬島で火山の噴火がありました。火山、富士山の活動には十分アンテナを張っておく必要があります。
2020年はコロナで窮屈な1年でしたが、21年が皆様にとって幸多き年となりますように。(続きはご購読ください。初月無料です)
……以上。
個人的には、自然災害では南海トラフ&首都直下大地震がついに現実となるか?
そして毎年のように襲う大型台風&大雨・豪雨災害。
あまり危機をあおっても仕方ありませんが、コロナがワクチンや薬で完全に収束しないうちに自然の災害で密が避けられない状況になれば、オリンピックどころではありません。すべからく開催にこぎつけたとしても、主要先進国のなかには収まらないコロナ禍によって棄権する国もあるでしょうし、世界中から人々が訪日することになれば、さらに日本国内で感染爆発する可能性もあります。オリンピック史上、最も盛り上がりに欠ける大会になってしまいそうです。
しかし、たとえどんな窮地に追い込まれようと、ボランティア団体などにすがろうと、命さえあれば必ず光明は見いだせると信じています。
世界には、北朝鮮のような独裁国家やアフリカなどの途上国(で飢餓に苦しむ国民たち)、シリアなど内戦やテロが耐えない国に比べれば、まだ平和で民主国家である日本のほうが恵まれていると思います。