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ねこと猫女神の徒然日記

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2015年07月27日
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カテゴリ:小説
2224年11月のことである。
 23歳になったばかりの遠藤美奈は、寝ている最中に目を覚ました。
 恋人の浜風裕は、隣で寝息を立てている。
 文句なく、幸せなひとときを過ごしていると、実感していた。
何しろ去年は、拉致状態にあって、生きて裕の下へ戻れないかもしれないと、何度も思ったからである。
 それからすると、今は幸せの絶頂とも言うべき状態であった。
 この絶頂が長く続けばいいが、それは誰にも判らなかった。
                   ☆
 出会ったころのことを思い出してみる。
 拉致事件に巻き込まれ、一件落着後に見た裕に、美奈は、ぱぁぁぁぁぁぁぁと一目惚れしたのだった。
 紆余曲折の末、<ペルシアン・キャット>の一員になれたわけだが、宇宙の荒波に放り出された彼女は、厳しい現実を味わっていた。
 船でのお茶くみなどはいざ知らず、命を狙ってくる敵を、何度倒しただろうか。血塗られた手で、愛する人を抱いてもいいのだろうか、などとは考えず、その場その場で難儀を解決してきたのである。
 ケガだけはしなかったが、本当に良くやってきたなと思う。
 特に去年は、ラーグナのフォーケントで拉致され、人造人間に乗って、生物兵器と戦う、なんてことまでしてきたのだから。
 肝腎の裕との関係は一向に進展せず、歯ぎしりする思いであった。そのころの裕は、過去の恋人との思い出に縛られていたり、嫉妬混じりに美奈を見ることはあっても、どこか一線を引いて接していた。
 それがなくなったのは、<ペルシアン・キャット>が、解体の危機を迎えたときであった。その危機をどうすればいいのか、不安に思った裕を、美奈が身体を張って受け止めたのである。それは、正解であった。
 <ペルシアン・キャット>は、ふたりを残して解散状態に入り、裕と美奈はそれまで以上に忙しくなった。本気で、誰か雇おうかと思ったくらいである。
しかし、出来る範囲のことをやろうと、ふたりで頑張ってきたのであった。
じっと寝顔を見ていた美奈はそっとキスをして、寝入った。

まだ戦争景気は続いていた。
終戦となっても、修理、修復のための資材など、あちこち引く手もあまただ。
輸送の仕事は、まだしばらくは安泰であった。
しかし、ひとつ問題があった。
地球の船が、大手を振ってやってくることだ。
戦勝国な上、元からランクが上だったこともあって、非常に舐めてくるのだ。
 裕の<ペルシアン・キャット>も船籍は地球ではあるが、そんなはしたないことはしていない。
 矜持ってもんがあるからだ。
 ドックの使用料をただにしろとか、そんなことは言ったりしていない。
 地球側に付いた太陽系国家は、皆安泰で暮らしていたが、アンクード連合にうっかり乗ってしまった方は堪らない。
 戦った近隣諸国への賠償金など、厳しい現実が待ち受けていた。入港税などを無税にするなど、勝ち負けの差がくっきりと出ていた。
 それもこれも、総て、<ペルシアン・キャット>がテレジナ宇宙軍を内偵した結果であるというのは、言い過ぎかもしれない。
 しかし、裕などはそうではないかと思っていたので、最後の最後、<レッドフォックス二式(改)>を駆って、テレジナ宇宙軍を撃破したときの爽快感は並大抵のモノではなかった。責任は取ったぞーとも言うべきモノであった。
 その責任は、ずっと上の方ではまだ取りようが続いていた。
 戦争犯罪人としての責任である。
                    ☆
「おはよ、美奈」
「裕、おはよう」
 新しい一日が始まった。
 今日は積み荷の搬入があるはずだが、どうなっているやら。
 それにしても、真っ白だった<ペルシアン・キャット>も、
 あちこちがすすけてグレーに見えないことになってきた。
 それだけ、年季が入ったというわけである。
「俺たち同様にな(笑)」
「ン、もう、歳のことはいいでしょ」
24歳の誕生日を迎えたばかりの美奈である。
 仕事中だったため、控えめなパーティであったが、飲んで騒いだ。
 しかし、ふたりきりなので騒ぐにも限度がある。
 3人減ったことが、実感するときであった。
 特に、真と美加がどうなっているのか、音信不通なのが気になるところだ。
 エリックに頼んで、調べてもらおうかと思ったくらいだが、まさか死んでいるとは思ってないので、やめておいた。
 死んでいたらびっくりするからだ。
 この辺りが、調べるジレンマになっている
 生きてはいるだろうが、どんな生活を送っているのか、知りたいとも思う。
 やはり、調べた方がいいのかなあ・・・。
『<ペルシアン・キャット>搬入を開始します』
運良く、朝イチからだった、運がよければ、今日のうちに到着できる。
って、どこだったっけ太陽系国家ウエルガーのジュノンは。
 地図で見ると、ワープ、ワープでは案外遠かった。
 これは、ゲートウエイを使った方が速いかもしれない。
 搬入作業を見ながら、地図を見ていた裕は、そう思った。





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最終更新日  2015年07月30日 14時18分00秒
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