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胃切除者の散歩道

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2010.03.18
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カテゴリ:カテゴリ未分類


胃切除を受けた場合は、切除術と同時に残った胃(あるいは食道)と腸をつなぐ、再建術をおこなわなけらばならない。再建法には有名な方法としてビルロート1法、2法、それにルーワイ法がある。

胃の再建術

ビルロート1法は残った胃(残胃)と十二指腸の断端を直接縫い合わせる方法である。ビルロート1法は、最も簡単そうに見えるが、元来後腹膜に固定されている十二指腸を残胃に引っ張って近づけるので縫合部に離れ合うような張力が掛かるそうだ。また、一般的に消化管縫合は端々を縫合すると血流の関係で縫合不全がおきやすいそうで、ビルロート1法は術後縫合不全が起きやすい。さらに、最近、十二指腸液の逆流が問題になっているが、幽門が切除されるので、幽門が果たしていた十二指腸液の胃側への逆流防止機構が期待できなくなり、残胃炎が必発するという。

胆汁逆流


そこで考案されたのがビルロート2法である。これは小腸起始部から20cm程度の空腸を残胃と端側縫合、つまり脇で縫い合わせる方法だ。縫合部に張力が掛からないし(小腸は自由に動く)、小腸は血流の心配がない側壁を使用するので、縫合不全が少ないそうだ。ビルロート先生がビルロート1法を初めて成功させたのは1881年で、その数年後にビルロートは2法を成功させたそうで、2法の方がはるかに安全な術式だそうだ。昔は十二指腸の断端をきれいに閉鎖する方法が難しかったようだが、今は、自動吻合器で閉じてしまうので楽だそうだ。
ただしビルロート2法でも必ず十二指腸液は輸入脚となる空腸経由で吻合部を通して一回は残胃に入り込み、その後輸出脚側の空腸に流れていくので、十二指腸液の逆流が起こる。それを防ぐために考案されたのがブラウン吻合というもので、これはビルロート2法に加えて、空腸起始部と、縫合部から遠位側の輸出脚部分の空腸を縫合して、十二指腸液が残胃に行かないようにバイパスする手術だそうだ。

私は幽門側胃2/3切除を受けたが、再建術はルーワイ法というもので、十二指腸は閉じてしまい、残胃と持ち上げた小腸とを縫合する方法だ。胃全摘の場合は、ルーワイ法で再建するのが一般的だそうだ。ルーワイ法は十二指腸液の逆流が少なく、縫合不全も非常に少ないという。万が一縫合不全が起こったとしても強力な消化液である十二指腸液が縫合部に流れ入まないので、安全だそうだ。フランス系スイス人外科医のRoux(ルー医師)の考案したY型吻合と言うことで、100年前には考えられた様だ。

 その他、代用胃として小腸をつなげて袋(パウチ)をつくり食物の貯留をさせる工夫が行なわれることがある。術後の体重の回復が良いということで一時、はやったようだ。しかし、手術が複雑になり、合併症の頻度が増し、パウチに食物がたまって不潔になるという欠点がある上に、ルーワイ法と比較して優れているという証拠はないことがわかってきたそうだ。十数年前までさかんに行なわれたが、今では反省期にはいり、あまり行なわれていないようだ。

 このように術式に流行り廃れがあるようで、今から30年ほど前は、“十二指腸に食物を通す方が生理的”という理由でビルロート1法一辺倒になった時期があったそうだ。しかし、最近、十二腸液の残胃への逆流が発ガンをもたらすということが問題視されるようになり、逆流がほとんどないルーワイ法かビルロート1法+2ブラウンが主に行なわれているようだ。また、長期でみると十二指腸を食物が通らなくても栄養状況にほとんど差がない事などが明らかになってきたそうだ。ルーワイ法は絶対洩れない術式と言うことも大きなメリットで、現時点での標準術式といえるそうだ。なお、国立癌センター総長だった杉村隆氏は2003年に胃全摘後にルーワイ法で再建を受けている。

盲管症候群と輸入脚症候群


 なお、輸入脚症候群とよばれる後遺症があり、これはビルロート2法とルーワイ法で生じる行き止まり、つまり盲管(輸入脚という)に狭窄が合併して起こる症状だそうだ。盲管に胆汁や膵液が滞って壁に障害をもたらしたり、滞った液が逆流して嘔吐をおこすこともある。また、盲管内に細菌が異常繁殖して脂肪の吸収障害が起こった状態を盲管症候群と呼ぶ。






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Last updated  2010.03.19 22:54:06
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