韓国の盧武鉉大統領は北朝鮮の核実験を機会に外交通商相、国防相、統一相、国家情報院長など外交と安全保障の担当閣僚をすべて入れ替えた。この人事について当初「盧武鉉が太陽政策を変更するために閣僚を交代させた」と思われたが閣僚の顔ぶれを見ると南北統一に向けた布陣であることが判る。
統一に向け韓国はまず北の経済を立て直し、南北経済格差をできるだけ縮めたいところである。そこで外交通商相には、北朝鮮に対する太陽政策の推進者であり米国を「好戦的な国」と批判した宋旻淳が就任し、統一相には前任者よりもさらに北に対して甘い李在禎が選ばれた。
一方国防相には北朝鮮に対し強硬姿勢をとる金章洙が就任している。韓国では2009年ごろまでに米軍の韓国撤収や有事の指揮権が米軍から韓国軍に委譲される。そのため韓国は米軍に頼らずに先軍政治の北朝鮮に対峙しなければならなくなるので国防相には強硬派を就任させた。
韓国は外交通商面では北朝鮮の市場経済化を支援し経済の安定化を図るとともに自国の軍事力強化をはかり、経済、軍事両面の優位性を保ちながら朝鮮統一を有利に進めたいと考えている。そこで盧政権は今後予測される米国の覇権主義の衰退を念頭に硬軟とりまぜた閣僚人事を行なったのであろう。
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