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カテゴリ:国際政治
日本国民の多くは「日米関係は今後も良好」であり続けると考えており「拉致問題」でも日米は緊密に連携しているはずと信じていた。しかし北朝鮮に対し強硬だった米国が微笑外交に転じたり、日本の頭ごなしに米朝協議を進めるなど米国の行動が日本の期待と異なるようになり、国民の心の中に米国に対する不満と心配の種が芽生えていることも確かである。
このようなブッシュ政権の方針転換は政権内の多数の政策グループによる権力闘争に一因がある。これら政策グループは主なものでも「軍産複合体」「キリスト教原理主義者」「ネオコン(軍事派ユダヤ)」などがあり、その時代の世界情勢や国内動向に対応できる主張や政策をかかげ時の政権をコントロールしてきた。 例えば北朝鮮問題では、頼みとしていたボルトン国連大使ら「ネオコン」勢力がブッシュ政権内で一掃され、いまや「拉致問題」で強硬姿勢をとるのは日本だけとなりつつある。小泉政権時代は小泉とブッシュの親密な関係により日米は安定した関係を築いていたかのように見える。 しかし最近では安倍総理の従軍慰安婦発言によって米国議会から「日本は太平洋戦争を正当化している」という批判が出ており日米間に暗雲がたれこめている。また軍事面でも現在は米軍と自衛隊が密接に連携しているが、米韓の間で起こっている「韓国からの米軍撤退」や「戦時指揮権の韓国への返還」を考えると、日米安保も将来大きな変化を迫られることも考えられる。 さらに先の中間選挙で民主党が大躍進したが、民主党の力が大きくなるとクリントン政権時代の経済摩擦が再燃するという見方もある。ボブ・ウッズワード著「ブッシュのホワイトハウス」では日本を「ジャップ」と毛嫌いするキッシンジャー元国務長官がブッシュの外交政策に強く影響を与え始めたと述べている。 どうやら米国の政治情勢が変化するにつれ、日米関係は厳しい状況に陥る可能性がある。日本は従来の「米国一辺倒」から「多極的外交」へと転換せざるを得なくなりそうだ。もし日本が「多極的外交」を目指すなら米国に頼らない独自の外交戦略が必要となる。 ハドソン研究所の日高義樹は「ブッシュのあとの世界」で日本の自立のためには情報収集機関や軍事力の強化が必要だと述べている。確かに6カ国協議における米国や中国、北朝鮮などの動きをみても外交はきれい事では進まない。「拉致問題」のような難題を解決するには、あらゆる諜略をめぐらす外交が日本にも求められるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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