2010/02/18(木)22:51
『利休にたずねよ』 を読む
2009年の直木賞受賞作品、山本兼一の『利休にたずねよ』を読み終えた。
受賞した時から気になっていた本を借りてきた。
利休が切腹する日から話しが始まる。
そして、そこに至るまでを遡りながら、利休を取り巻く人々に語らせている。
切腹を命じた秀吉のしたたかさ、利休の悪口を語る人々の意地悪さ。
天下を取った秀吉に、逆らうことが出来ない理不尽さ。
そして、美しい日本語で書き連ねてある文章は、
侘び寂びと美をイメージしながら読み進めて行くのが楽しくなるほどだった。
お茶を点てたこともないし、点ててもらったお茶を飲む機会もなく暮らしをしている私でも、
読んでいるだけで、幽玄な世界を垣間見るような気持ちになる。
利休に対して、もっと枯れたイメージを持っていた。
「利を休め」という法号を帝から賜った名の通り、利休は枯れているどころか、
秘めた情熱を持ち、刃物のような鋭さを持ち合わせた人だったようだ。
作者がこれを書くきっかけになったのは、利休が愛した道具の品々を眺めていると、
どれもこれも詫びても寂びてもいない美の一級品ばかりで、
自分が抱いていたイメージに違和感を感じたからだという。
なるほどねぇ。
なかなか面白い歴史小説でした。
それにしても、秀吉の命じた切腹の理由は諸説あるようだけど、
本当の理由は何だったのだろう。
「火天の城」も山本兼一さんの作品だったのですね。
映画を見たけど、原作者も知らずにいました。
しかもこれは2005年に松本清張賞、2006年に直木賞を受賞している。
つまり、山本さんは二つも直木賞を取っていたわけで・・・・全く気づかなかった。
ちなみに、裏千家が「ちゃどう」で、表千家が「さどう」と言うそうですね。
茶道については無知なので、全部「さどう」だとばかり思っていたわ。