22日のオリックス戦で、永井は7回6安打3失点で7敗目を喫した。今季すでに11勝を挙げて芽生えた自信もあったのか「もったいなかった」と唇をかんだ。試合後、帰り際に自分も含めた報道陣に囲まれると、敗戦のショックも感じさせず、はきはきと質問に答えた。「残りの登板機会も少ないですからね」。早くも気持ちを次戦へと切り替えていた。
成績の向上は、そのまま人間性の向上でもあった。昨年のオフに寮を出て、仙台で一人暮らし。つい暴飲暴食になりがちだが「食事は大事ですから」と節制している。管理栄養士の大前さんからも「永井君はしっかりしてるから」と太鼓判を押されている。自宅では商売道具の右ひじのケアも欠かさない。大人としての自立が、言葉にも出ている。テレビ出演など、表に出て話すことは得意ではない。それでも今年はお立ち台でもしっかり自分の言葉を発するようになった。
シーズンはCSを含めても残り1カ月。永井の登板機会は多くても4、5試合だ。「とりあえずシーズン。CSに行ったら、もうなんでもありですから」と、スクランブル登板にも意欲を見せた。後輩の田中とともに、投手陣で1番の成長を見せた男の秋に、改めて注目したい。
【小松正明】
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