夜が待ち遠しい

2021/01/04(月)08:30

池袋の百貨店飲食店街のブラッスリー

豊島区(352)

ぼくの基本的な好みとして、例えばレトロっぽさを再現した店舗だったり横丁だったりが好きにはなれません。では、なぜ好きになれぬかといえば、それがオリジナルに対するコピー、つまりは似て非なるものでしかないから好きではない、とそう簡単な理由で説明できることではなさそうです。例えば、新横浜ラーメン博物館や横濱カレーミュージアム、ナンジャ餃子スタジアムといった施設にはそれなりの存在意義を認めていますし、実際行ったことはないけれどけして嫌いではないように思います。でも恵比寿でも大塚でもいいけれど、町並みをそれらしい呑み屋街に改造するのはどうかなあと思うのです。そこにあざとい営利主義のこすっからさを見て取ってしまうのです。どうも本気の愛情が感じられないのです。まあ、上手く両者の差異を説明できないのですが、デパートの飲食店街にもちょっと好みのお店があります。百貨店の最上階なんかにある回転式レストランや大食堂などには郷愁を覚えますが、本体自体が改修を済ませ、店内も今風になってしまっては愛情の対象にならなくなった以上、似非でもいいからそれっぽく愛情を込めたお店であれば好きになるのに躊躇していられないのです。  池袋の西武百貨店の8階に飲食店街はあります。スポーツウェアの店などが立ち並ぶエリアの通路を挟んで「ブラッスリー ル・リオン(BRASSERIE LE LION)」があり、それらの売り場が丸見えのテラス席はぼくの選択肢にはありません。通り掛かりの買い物客たちの目に触れるのもあまり気分が良いとは思えませんが、それ以上に席からの眺めが到底フランスの町角には思えぬからです。日本のそれも池袋くんだりでフランスも何もあったもんじゃないですけど、これが住宅街の人通り疎らな路地だったりしたらそれなりの気分に浸れると思うのです。だから当然のように店内にて食事することにします。赤みを活かした落ち着いた店内は書棚が並び、本場リヨンにいかにもありそうな雰囲気が漂っています。わずかに見えるテラス席もその背後までは見通せないから丁度良い具合です。まがい物であろうとそれなりのセンスと愛情さえあれば相応な効果をもたらすのであります。さて.この日はアラカルトであれこれと頂くことにしました。飲食店街の店と侮ることなかれ、ここの料理は手頃で味もちゃんとしていてしかもポーションが立派だからシェアして食べて丁度いいと思います。この夜はジビエとして鹿肉が用意されていて、これがとても美味しかった。量もあるからついワインが進みますが、嬉しいことにデキャンタで提供してもらえるからついもうひとつとちょっと呑み過ぎてしまうのです。この飲食店街の他店は知らぬけれど見たところ内装やらで楽しめそうなのはここ位のようなのが、残念、せっかくだからフロアーごと拘りをもってもらえるともっと愉快になりそうです。

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