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テーマ:今日の健康状態は?(10567)
カテゴリ:菌
ねんきんと言うと、昨今世間を非常に騒がせ、いまだに決着がつかない問題を思い出してしまいますが、今回の話題はそれとは違うねんきん・・・粘菌の方の話です。
粘菌と言われるとSF映画やアニメの世界では、ちょっと怖い存在として描かれる事もありますが、粘菌はそれほど特殊でも珍しい存在でもありません。 森の中や薮の落ち葉などが腐った地面に普通に見られる菌で、変形菌と呼ばれる事もあり、世界で600種ほどが発見されています。 ありふれてはいても、何か特殊な能力が備わっているらしく、地面に多数の粘菌がバラバラに存在していても気温や湿度などが生存に適さないような危機的な状態に陥ると、それまで無関係なようにバラバラだったものが一点を目指して集まって来るという習性があります。 一点に集まった集団は、それぞれ別個だった個体が結合をはじめ、細長いひも状の柱となって上へと伸びていきます。一定の高さになったところで頂点が球状に膨らみ、球体の中から無数の胞子を飛び散らせ、やがて胞子は新たな地面で発芽し、粘菌となって新たな生活がはじまります。 それまでバラバラだった個体が何故統一された意思を持つかのように、同時に一点を目指すのか。結合点となる一点には、すべての粘菌が最短距離で集合すると言います。 柱となる結合は到着順に始められますが、到着までの時間が予め計算されていたかのように、到着が速すぎてその部分が多めに結合していたり、遅れが出て柱が細くなったりという事は一切ないとも言います。 粘菌は菌類なので、高等生物のように脳を持つ事はありません。しかし、危機的状況に際して、最善の行動を統一された意思の下で行なうには、常に情報を共有し合う優れた情報システムと意思を同じくする高度な教育が必要なはずです。 粘菌の最短距離を見つける能力や強固な柱を築くというネットワーク構築力は、基本的な部分で「心」の機能に近いのではとも言われています。脳を持たない粘菌にとって、情報学習機能と言えるそれらの働きは代謝反応系によって構成されている可能性が高いと見られています。 そうなると、これまで高度な脳に依存すると考えられてきた心の存在は高等生物特有の物ではなく、代謝系の反応として地球上のほとんどの生物に存在する事になります。 身体機能や器官の構成などに目がいきがちで、生物を高等、下等と分けてしまっていますが、全ての生物に心が存在する事は古代の人々の世界観によっても語られる事があります。一見地味な存在の粘菌が、世界中の生物を代表して心の存在を証明してくれる。そんな日がやがて来るのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月25日 08時26分01秒
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