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テーマ:心の病(7312)
カテゴリ:薬
その存在は最古の薬物書や医学書から今日の薬物書、医学書のすべてに記載され、薬用植物として扱われてきました。紀元前16世紀のエジプトでは神殿で焚いて、その煙を吸引する事で神と対話できたとパピルスに記されています。
インドのアーユルヴェーダでも鎮痛、消化促進から利尿まで、重要な薬草とされたその植物の名は大麻。最近、世間を賑わせている禁止薬物でもあります。 大麻は大麻規正法によって厳しく規制されています。大麻規正法では栽培や所持、売買などが規制され、罰則も懲役10年にも及ぶ大変厳しいものとなっています。 それだけ厳しく定められた大麻取締法ですが、ちょっと不思議な部分があります。あり得ない事ですが、私が何処かの怪しいパーティーに出席して大麻を勧められたとします。物珍しさも手伝って、吸引してみたところで私が罪に問われる事はありません。大麻取締法には吸引に関する罰則がないからです。 やがてパーティーも終わり、吸いかけていた大麻を勿体ないので持ち帰ります。家に帰る途中、警察官に職務質問され、吸いかけの大麻が見付かると現行犯逮捕されてしまいます。大麻所持にあたるからです。 取調べを受けてパーティーの事を話すと、大麻を購入して準備した主催者は大麻売買、会場へ大麻を持って行ったパーティーのスタッフは大麻所持に抵触してしまいます。 また、大麻由来の物であっても大麻の実は法規制の対象外となっていて、鳥の餌として普通に購入する事ができます。鳥の餌にするための大麻の実は、焙煎して芽がでないようにしてありますが、たまたま焙煎が弱く芽が出てしまった物を育ててしまうと、大麻の栽培という事で逮捕されてしまう事となります。 大麻を栽培する事がすべて法に抵触するかというと、県知事の許可を受けた農家が栽培する事は許されていて、大麻の実や衣類などで馴染み深い麻の繊維を採る事ができます。 栽培農家の畑に出かけて行って、こっそり葉を盗んできて乾燥大麻を作るという話を聞く事がありませんが、それには栽培方法が大きく関与していると言われます。産業用に栽培される大麻は縦方向に伸びるように育てられるため、密集させて路地に植えますが、陶酔作用を求めた嗜好用の栽培ではたくさんの紫外線を受けさせる必要があるため、枝が横方向に伸びるように育てなくてはならず、嗜好用を産業用と偽って栽培したり、産業用を嗜好用へ転用したりという事は不可能となっています。 法律から栽培まで、複雑な部分を多く持つ大麻ですが、作物としては優秀で、実は食料とする事ができ、実から採れる油はバイオ燃料とする事ができます。縦方向に伸びる茎からは良質の繊維が採れ、1年に3回も収穫できるという成長の速さは大量の二酸化炭素を吸着してくれます。 大麻は世界中で危惧されている食料、燃料、温暖化といった問題を解決してくれる可能性を秘めた作物とも言えるので、あまり薬物問題でイメージを悪くしてほしくないと、最近のニュース見ながら思ってしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年11月20日 07時59分31秒
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