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テーマ:食べ物あれこれ(49939)
カテゴリ:食事
前回、炒めると煎るの違いを考えてしまいましたが、煎という文字にはもう一つの調理手法、煎じるがあります。煎じるとは素材を水分に浸して熱を加えて調理などをする事を指し、似たような手法に「煮る」があります。
一般的に煎じるとは、煮詰めるという意味で使われるとされ、素材を浸した水分がかなり少なくなるまで加熱が続けられる事を指します。「煎る」が素材の水分を飛ばしていた事を考えると、同じ漢字である事から納得がいきます。 煮るという調理手法は、素材を水分に浸して熱を加えていきますが、熱によって減少する水分量については言及されていないようにも思えます。しかし、「煮物」を作る際、素材を煮てほとんど水分がなくなるまで加熱して仕上げるので、水分量が煎じる事との違いとは言えない部分が残されます。 煎じる、煮るの使われ方を詳しく見てみると、食事に関連した使われ方では、煎じるは「お茶を煎じる」程度で、煮詰めると同義語であったとしても、「ジャガイモを煎じる」といった使い方をされる事はありません。煮詰めるというより煮出すの方が近いようにも思えます。 結果的な部分から見てみると、煎じた後、必要となるのはほとんどの場合、煎じられた素材よりも煎じる事に使われた液体の方で、煎じられた素材はそのまま捨てられたりもします。煮た場合は煮られた素材が大切で、煮る事に使った水分、煮汁も素材と共に利用されたりしています。 元々煎じるという言葉は漢方薬をはじめとした薬学から来ている言葉で、素材が持つエキス分を取り出して飲み薬を作るための行為と言えます。煮るという言葉は、生のままでは硬い素材を水分を加える事で柔らかくして食べられる状態にする事で、水分が素材に入り込む際、煮含めるという言葉があるように水分に含ませただしなどを吸収させて味付けする事も行われます。 同じ素材を水分に浸して熱を加える行為でも、煎じるでは取り出し、煮るでは含ませるという目的の違いがある事が解りますが、カツオや椎茸、昆布などでだしを取る際、カツオ節を煎じるという言い方をしないあたり、煎じるというのは薬学の範疇にある言葉なのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年01月30日 07時56分58秒
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