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カテゴリ:食事
今年も唐辛子の雪ざらしがはじまったというニュースと、真っ白な雪の中に真っ赤な唐辛子が散りばめられた映像が流され、今年も寒さの本番を迎えた事を感じさせてくれます。
唐辛子は雪にさらされた後、手間隙かけて特産品の「かんずり」に加工されます。かんずりは新潟地方で作られてきた辛味調味料で、唐辛子を数日雪にさらす事であくが抜けて柔らかくなったところをすり潰し、麹と塩、ゆずなどを加えて熟成させて作られています。 雪にさらす事で角が取れた唐辛子の辛味とほど良い塩味、麹の甘味とゆずの香りが調和して、鍋料理をはじめとしたさまざまな料理の薬味として使われます。 近隣の地域にも同様の調味料が存在し、唐辛子を雪にさらさずに作られる事から、辛味がかんずりよりも個性的とされます。 また、似たような存在として地域は全く異なりますが、九州の大分にも青い唐辛子を使った「ゆずこしょう」があり、同じように薬味として使われています。 かんずりとゆずこしょうの相違点は、雪にさらすという行程の存在や、赤い唐辛子で作られる物もありますが、ゆずこしょうのほとんどが青い唐辛子で作られる事。そしてゆずこしょうには麹を加えない事があります。 麹を加えない事からゆずこしょうには発酵という行程が存在せず、軽く熟成させる場合もありますが、唐辛子とゆず、塩をすり鉢ですり合わせた直後から食べる事ができます。 それに対しかんずりは唐辛子を塩漬けする事からはじまり、秋に塩漬けした唐辛子を寒さが最も厳しい大寒の頃に数日雪にさらし、麹やゆず、塩と混ぜ合わせて仕込みを行います。 仕込を終えたかんずりはそのまま熟成に入り、初夏に「手返し」と呼ばれる撹拌作業を行い、夏の暑さを使って発酵を加速させます。その後も年に一回の手返しを行いながら3年間熟成させ、全体が均一に発酵するように管理されます。 熟成期間を終えたかんずりは初雪が降り始める頃、最後の行程である「寒ざらし」と呼ばれる樽ごと屋外に出して冬場の寒さにさらし、味を引き締めるという仕上げが行われて完成の時を迎えます。 長い時間をかけて発酵、熟成させるかんずりは発酵食品の先進国と言われる日本ならではの辛味調味料ではないかと思えます。発酵させて作る辛味調味料としては豆板醤がよく知られていますが、もっと広まってほしい郷土色豊かな伝統食となっています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年01月22日 14時30分19秒
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