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カテゴリ:食事
世界の奇怪なお菓子というランキングが発表されると、必ずといえるほどランクインしてくるお菓子に北欧を中心に売られている「サルミアッキ「があります。サルミアッキは北欧周辺地域では伝統的に食べられているキャンディで、特に北欧5カ国では国を代表するお菓子という地位を確立するほどの支持を受けているともいわれます。
塩化アンモニウムを味付けに使う事により強い塩味とアンモニア臭という特徴的な味を持ち、その独特な味のために北欧周辺地域以外ではあまり食べられる事はなく、奇怪な食品の一つとして扱われています。 そんなサルミアッキは甘草由来の甘味成分を使っている事もあり、欧米で人気の「リコリス」の派生商品として扱われる事があります。リコリスとは、本来は甘草の一種であるスペインカンゾウを指す言葉ですが、スペインカンゾウの根やアニスオイルを味付けに使ったお菓子を指す方が一般的となっています。 お菓子のリコリスはサルミアッキのように塩化アンモニウムを味付けに使っていない事から、特有の塩味もアンモニア臭もなく、甘草由来の甘味とアニスの香りを持つグミのようなひも状、もしくはひも状の物を巻いた円盤状のお菓子として販売され、欧米では大人から子供まで幅広い人気を得ています。 リコリスの味の元となる甘草の甘味成分はグリチルリチン酸で、砂糖の30~50倍の甘さを持っています。強い甘さを持つ反面、味覚の立ち上がりが遅く、後に残るために独特なくどさとして感じられ、また、日本人には馴染みの薄いアニスの香りやほとんどの製品が真っ黒く着色されている事もあって日本では人気が出ず、日本では見掛けないお菓子ともなっています。 先日、そんなリコリスが大変な事件を起こしていました。一人の少年がけいれんの発作を起こして病院に搬送され、異常に高い血圧と血中コルチゾールの濃度が計測されていました。MRIによる検査の結果、脳の一部に浮腫も見られ、可逆性後頭葉白質脳症と診断されたのですが、原因が全く判らず医師たちは困惑してしまいます。 少年の口の中が変な色に変色していた事から、少年の日頃の食生活について聞き取りを行ってみると、少年は毎日かなりの量のリコリスを食べていたといいます。 リコリスに含まれるグリチルリチン酸は血液中のホルモンであるコルチゾールを不活性な状態であるコルチゾンに変える酵素の働きを阻害して、血液中のコルチゾールの濃度を上げてしまいます。 元来、コルチゾールはストレスに対してアドレナリンと共に分泌され、血糖値と血圧を高める働きを持つ事から、少年の血圧は異常に高まり、脳に浮腫を起こすほどになっていました。 入院によってリコリスを絶たれた少年は2週間ほどで能の浮腫が引き、回復へと向かったそうですが、お菓子とはいえ薬理効果を持つ成分を含む物を大量摂取する事の危険性を感じさせてくれます。 日本ではリコリスを見掛ける事はほとんどありませんが、グリチルリチン酸は多くの製品に使われているので、今回の少年の事例は遠い国の奇妙なお菓子が引き起こした事と捉えず、知らないうちに摂取してしまう量について注意が必要なのかもと思えてきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年03月16日 08時26分39秒
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