金刀比羅宮を参拝した後、私は琴平駅前に預けていた荷物を引き取った。その後一旦、宇多津まで向かうことにした。そこから特急に乗り換えるのである。
1936年に完成した琴平駅の駅舎は、歴史が感じられるという点で風情がある。JR琴平駅は1日平均約2400人に利用されている。
琴平からは、
快速サンポート・高松行き(13:13発、121系電車)に乗車。宇多津まで行く。土讃線内、及び坂出までは各駅に停車する。2両編成の車内は帰り道の高校生が多く乗車していた。もう終業式のシーズンだからか。
善通寺、金蔵寺と停車し、多度津に到着する。その後、
四国の大動脈である予讃線を走行する。前述の通り、宇多津で降りる。
そこで一旦改札を出て、特急券を買うことにした。宇多津から松山まで、特急料金込みで
5180円なり。鈍行での移動も考えていたが、時間の都合上、特急に乗ることにした。その反面、8000系特急の振り子と俊足ぶりが体験できた。
ちなみに宇多津駅の改札は有人改札だった。
特急に乗る前、私は宇多津駅内のコンビニで飲み物を調達した。その中、コンビニのおばさんとこんなお話をした。
ニシケン「宇多津町の面白いスポットってないですか?」
おばさん「どうでしょうねえ、分かりませんねえ。旅行ですか?」
ニシケン「そうです。大学の卒業旅行なんですよ」
おばさん「1人? 友達はいないんですか?」
ニシケン「1人旅です。東京から来ました」
おばさん「東京からですか。私の娘も大学進学で関西に出て行ってしまって・・・」
ニシケン「そうなんですか。そして東京や関西といった都会で就職して、田舎には帰ってこないとか?」
おばさん「はい、そうなることが多いですね」
ニシケン「地元の香川大学に入学する人ってあんまりいないんですか?昨日(3月24日)、卒業式がありましたけれども」
おばさん「少ないですねえ・・・」
こんなやり取りだった。四国ではどの田舎町も、若者の都会流出に悩んでいるようだ。
四国内の大学には魅力を感じず、東京や関西、岡山といった都会に出て行ってしまう。何とかできないものだろうか。
宇多津14:14発の、特急しおかぜ13号&いしづち17号・松山行き(8両編成)。ここ宇多津駅で、先に到着する高松始発の
いしづち17号と、後に到着する岡山始発の
しおかぜ13号とが連結する。
ちなみに私の席は、自由席の3号車(つまり、
いしづち17号)。
この先の停車駅は、丸亀、多度津、観音寺、川之江、伊予三島、新居浜、伊予西条、壬生川、今治、伊予北条、松山。
松山まで2時間ほどの旅だ。
8000系は多度津以西の単線区間を最高時速130km/hで駆け抜ける。まさにJRを代表する俊足特急である。岡山からの新幹線客を四国方面に輸送するのが、
しおかぜ号の最大の使命だ。
普通列車が頻繁に運行されているのは観音寺まで。香川県内の停車駅はここまで。川之江から先は愛媛県だ。愛媛県に入ると、すぐに「エリエール」「GOON(赤ちゃんオムツ)」などの巨大看板が見える。大王製紙の工場群だ。
川之江駅、伊予三島駅がある愛媛県・四国中央市は、大王製紙の企業城下町として栄えてきた。
途中、伊予三島で上りの8000系と交換。車窓を見ると、天気がやや回復傾向にあることが分かった。曇りから晴れに変わりつつあった。
列車は海岸辺りの工業地帯(東予港だろうか、大型クレーンが見えた)を通り過ぎ、今治・松山方面に向かう。
今治市では、高校野球の強豪・愛媛県立今治西高校が春の甲子園に出場している。公立で、しかも野球の強豪ということで地元の誇りのように感じた。タオルの町・今治を過ぎたら、再び海岸線を走る。終点・松山はもうすぐだ。
特急しおかぜ・いしづち号、松山行きである。(松山駅で撮影)
松山到着、16:16。もうすでに夕日が差し込んでいた。
松山駅からは路面電車に乗る。市内観光を兼ねてである。ホテルには夕方5時までに到着しなければならないので、どちらかというと急ぎ足だったのが残念だ。