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カテゴリ:キャリアデザイン
最近ではLGBTという問題が話題になって久しいです。これは古くて新しい問題だと思います。
私は2001年に放送されたドラマ「3年B組金八先生(シーズン6)」にて性同一性障害を聞きました。上戸彩さんがその障害で悩む女子生徒(体は女だが、心は男)を演じたわけですが、その障害の延長ではないかと思ったのです。それに関して、朝日新聞がwithニュースというネット媒体で興味深い記事を載せていました。ここ最近の私は、「自分は他人と感覚がズレている」という人や、「世の中の『普通』は変だ」と感じる人に対してクローズアップすることが多くなってきました。 その動きの中で、朝日新聞の記事を紹介します。 女性の「着ぐるみ」着る男性 性に悩んだ先で得た「社会との接点」(4月23日、朝日新聞・withニュース) 瞳の大きな笑顔に、カールのかかった鮮やかな金髪。そして、かわいらしい洋服。ここまで読むと、ひとりの美しい女性の描写だ。ただ、”変わっている”ことがあるとすれば、それは着ぐるみだということ。 そして、”中”には男性が入っているということだ。 ~「着ぐるみ」の男性との出会い~ 今年2月、さまざまなマニアがオリジナルグッズなどを販売するイベント「マニアフェスタ」(運営:別視点)を取材すると、あるブースで、にこやかな表情の着ぐるみが座っていた。「アニメか何かのマニアかな」、そう思って近付いてみた。着ぐるみは声を出さないが、視線を向けると元気に手を振ってくれる。 見た目やしぐさだけでは、男性か女性かもわからない。「何のマニアなんですか?」と聞くと、横のスタッフの女性が「カワイイキグルミマニア」だと教えてくれた。いろんな世界があるのだなと話を聞いていると、女性は「中の人がどんな性別で、どんな年齢であろうと、なりたい姿になれるんです」。 「この子も実は男性で」と着ぐるみに目を向け、女性が続ける。「生まれ持った自分に違和感を持っていても、着ぐるみになると見た目とか、声とか、表情とか、従来のコミュニケーションをそぎ落とせるんですよね。個性って、自分で一からつくっていけるんじゃないかなって思います」 女性の話を大きなリアクションもなく、「着ぐるみ」は静かに聞いている。見慣れない姿に最初は少し戸惑ったが、「中の人」に詳しく話が聞いてみたいと思い、取材を申し込んだ。後日、指定した喫茶店に、「遅くなってすみません」と現れたのがTさん(41)だ。イベントで聞けなかったその声は、想像よりも若さを感じるさわやかな声だった。 ~制作者でもある”中の人”~ Tさんは、10年以上前から「着ぐるみ」をつくっている。イベントなどでは「中の人」として活動している。 テーマパークでよく見るような、ふさふさした毛におおわれている、ぬいぐるみのような着ぐるみではない。人形を人間大にしたような、「ドールタイプ」と呼ばれるものだ。なめらかな材質のフルフェイスのマスクをかぶり、体はマスクの肌の色に合わせたタイツを着た上に、洋服を着るようになっている。 Tさんの素顔は、線の細い長身の男性だ。どうして、「着ぐるみ」をつくっているのか。そして、身につけるようになったのか。 当初は言葉少なだったが、Tさんはとつとつと語り始めた。“彼”のこれまでの人生は、いつも悩みの中にいた。 ~ずっと感じていた「人と違う」~ 「幼いころから、ずっと、自分は周りの友だちとは『違う』と感じていました」 周囲の男友だちが女性に興味を持ち始めるころ、Tさんは彼らとの距離を感じ始めていた。 「女性に興味がわかなかったんです。物心ついたときには、時代劇に出てくる虚無僧や風船を配っているうさぎの着ぐるみ、そういったかぶりものを食い入るように見ていました」 人が中に入っていることを理解した上で、“中の人”のパーソナリティばかりが気になったという。どんなことを考えているのだろうか、どんな表情をしているのだろうか。「好き」だけでは説明できない、特別な感情を持っていた。 ~罪悪感、そして得たヒント~ そのもやもやとした感情を、Tさんは誰にも話すことはなかった。成長するにつれ、周囲との「違い」を強く感じるようになり、積極的な他人との関係も避けるようになったという。 Tさんは中学生の頃、靴下を縫い合わせてぬいぐるみを作ってみたことがあった。しかし、出来上がったのはぬいぐるみともほど遠いもの。直後に罪悪感が襲ってきた。自分は何をしているのか、と。 「着ぐるみのことを考えている自分は恥ずかしい。考えてはいけないんだと思っていました」 そんなとき、とあるテーマパークに行ったTさんに衝撃が走った。人型のキャラクターが、着ぐるみとして登場したからだ。 「人間じゃないものになるための装置だと思っていたけど、自分と違う『人』にもなれるんだ、と」 人が人になれるーー、そう気づいたとき、自分を覆っていた「もやもや」の答えに近づいた気がした。「自分は何かになりたいのかもしれない」、それから、Tさんは人型の着ぐるみに夢中になった。 ~Tさんの「もやもや」は何だったのか~ それでもTさんは、着ぐるみに何かを求める、「他人とは違う自分」は受け入れられずにいた。きっと両親にも理解されないだろうと、「誰かに受け入れてもらいたい」という気持ちもとっくに捨てていた。 2000年代、説明できない思いを抱えたまま、大人になったTさん。ある日、手に取った雑誌の中に、女性の着ぐるみを身につける人を見つけた。その写真から女性の姿に近づけようとする思いは伝わってきたが、“中の人”が男性であることはわかってしまった。 「自分と同じことを考えている人がいた」という驚きと同時に、Tさんはその着ぐるみに嫌悪感を覚えたと話す。 「むやみに胸が強調されていて、ただ単に男性の欲望を具現化しているよう。体も明らかに『男性』だとわかり、マスクとのギャップで不気味に感じました」 「僕が同じことをしても、こう思われるのだろうか。それは嫌だ」ーー。その着ぐるみに自分を重ね、Tさんに「受け入れられたい」とまではいかなくとも、自分の存在が社会に「許されたい」という気持ちが芽生えた。 このころから、Tさんの「もやもや」は徐々に輪郭を持ち始める。Tさんは「今の自分とは違う自分」、それも女性にも「かわいい」と思われるような女性に「なりたいのかもしれない」と感じ始めていた。 ~「自分は“どっち”なのか」~ それから、Tさんはマスクづくりを始めた。そして、自分の「性」について考え込むようになった。 「昔から素の自分に違和感がありました。女性に興味がないことをおかしいんじゃないかと思っていましたし、自分が毛深くなることや、学校の規則だった丸刈りへの嫌悪もあったんです。着ぐるみづくりを通して、『本当は女性になりたいのでは』と考えるようになりました。自分は“どっち”なのかと、よりどころのなさに不安になったんです」 悩んだTさんは、性転換を視野に入れながら、カウンセリングを受けたという。女装サロンを訪れ、ゲイバーにも足を踏み入れてみた。 このときのことについて、Tさんは「退路を絶つ作業だった」と振り返る。この「もやもや」はどう言語化できる? 性転換したい気持ち? 同性愛……? たくさんの人と話す中で、悩みを打ち明けることができ、悲しい出来事やセンシティブな話も受け止めてくれるコミュニティがあることに感動した。でも、彼ら彼女らが持つ大きな不安感も、Tさんの上に覆い被さった。 「彼ら彼女らは、自身のパーソナリティは認めている。でも、認めたことで社会と折り合いがつかない部分が出てきて、それにすごく悩んでいた。いまは徐々に理解も広がっているけど、僕にはそれが、すごく怖かった」 「でも、いま思えばそのとき、『決めなきゃいけない』という考え自体が、さらに自分を追いつめていたんだと思います。いろんな人の話を聞いて、ずっと何かに自分を当てはめようとしていました」 Tさんは情報を集め、人と話すことで、「着ぐるみを着ることができれば、自分の心が男性か女性かは、決めなくてもいい」ということに行きついた。自分の「違い」を受け入れることより先に、「わからないことを、わからないままにすること」を受け入れたのだ。 「僕は『自分じゃない何か』になりたくて、それは着ぐるみを着ることで満たされる。それ以外で妥協できるところはすればいいし、いろんなバランスがあっていいはずーー」 「それに」と加えるTさん。「周囲がネガティブに捉えやすいことを、ポジティブに見せることができるということも、マイノリティのコミュニティから教わりました」 新宿で見たドラァグクイーンの輝きは、「どうしようもなくてせざるをえない姿」ではなかったという。「自分はこれがやりたいんだ」と思わせる力があった。「どうせなら、胸を張れる作品を」、Tさんは決意した。 ~初めて、マスクが売れた日~ 費やすこと、7年。ずっと言えなかったマスクづくりも、「人に見せてもいい」と思えるようなレベルに仕上がった。 画像投稿サイトに、自身がつくった着ぐるみを身につけた姿を載せると、反響が集まった。イベントでスタッフをしていた女性は、投稿された画像を見たひとりだ。現在、Tさんと一緒にマスクの販売をしている。 「描いている女性像がいやらしくないというか、『きれいだ』と思いました。後に“中の人”である彼に会って、かわいい女の子になる権利は男性にもあるはずだと感じました」 「他人の目」を敏感に気にしていたTさんだからこそ、「見え方」には細部にこだわる。身だしなみに気を配り、その場に合わせた洋服やアクセサリーを選び、少しでも多くの人に「かわいい」と思われたいーー。私(筆者)はTさんの話を聞きながら、鏡の前で化粧やコーディネートを試行錯誤する自分を重ねた。 すでにTさんの中では、ただ自分の理想を描くのではなく、社会に「許される」ような作品づくりに変わっていった。 事情を知ったその女性に背中を押され、Tさんは初めてマスクをネットオークションに出品してみた。 「売れる訳ないよ」と渋々了承したTさんだったが、その言葉とは裏腹に、価格はみるみるうちに上昇。最終的には8万円の値がついた。 「認められた、って初めて思えたんです」 ~ずっと「隠してきた」人生だった~ その後もマスクを制作し販売を続けると、さまざまな人が買っていった。Tさんと同じように、自分以外の何かになりたい人、女性になりたい男性、人と顔を合わすのが苦手な人……。 その中には、女性のコスプレイヤーもいた。マスクづくりは時には奇異の目で見られることもあったが、「日常の延長」として手にとってもらえたことが、うれしかった。 振り返ると、ずっと自分の思いを隠してきた人生だった。でも、そんな自分を隠すマスクが、社会との接点になった。 「すべての人に受け入れてもらえるなんて思っていないです。でも、着ぐるみやマスクという存在が、自分の受け皿になりました。僕以外の誰かの助けになるかもしれません。日常生活を着ぐるみで過ごすのはまだ難しいかもしれませんが、社会と折り合いがつけられるところを探っていきたいと思っています」 ◇ 着ぐるみに最初は少し戸惑った私(筆者)だったが、イベントで数分話を聞けば「そういうもの」だと感じ始めていた。そして、Tさんの揺らぐ性も、話を聞けば「そういうものなのだ」と思えてくる。 気づけば、顔を隠している歌手やバンドをよく見かけるようになった。ネットでは自分をアバターに置き換えることは日常的に行われてきたし、この1年ではバーチャルYouTuberが爆発的な人気を集めた。 表現という枠を超えて、これらが受け入れられ始めたとき、生きづらさがやわらいでいる人たちがいる。自分の体と心の違いに違和感を覚えていたTさんの話を聞いて、セーフティネットとしてのマスクの存在を感じている。 誰かにとっての「そういうもの」になるには少し時間がかかるかもしれないが、取材を通して、そこまで遠い未来ではないかもしれない、と感じ始めた。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子) (引用終わり) 端的にまとめると、自分は「やってみたいこと」をやりたいのか、やりたくないのか。後悔しない生き方をしたい・・・ということではないかと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 23, 2022 08:15:43 PM
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