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カテゴリ:キャリアデザイン
本日の朝日新聞にこんな記事が載っていました。
最近の大学生の就職活動で、とても考えさせられる内容でした。 (ルポ2020 カナリアの歌)プロローグ 就活で急に個性問われても「脅し」みたい(29日、朝日新聞) 年末の東京・表参道。都内の私立大3年の女子大学生(21)は、イルミネーションの中、黒いリクルートスーツ姿で歩いていた。 夕飯代わりの黒糖タピオカ入りのミルクティーが温かい。志望企業でのインターンシップを終え、向かうのは就職活動の「塾」だ。 就活塾「就活コーチ」は、表参道近くのワンルームマンションにある。慶応など有名大学の男女計6人だ。グループディスカッションの講座に集まっていいた。「OB訪問と傾聴力」の回では、疲労からか、ほとんど発言できなかった。 議論の後、学生は手元に配られた1~6のトランプのカードを互いに手渡し合った。最も影響力があった人に「1」、なかった人に「6」。女子大学生の評価は自己評価も含めて最低の「36」。悔しさも、本番への不安ものみ込んで、「自分のせい」と受け入れた。 広瀬泰幸代表によると、毎年80人ほどの学生が通う。技術革新とグローバル化で不透明な時代に、こうした就活塾は増えているという。背景には採用方法の複線化もある。1次選考を、コピペが簡単な書類選考から「ビデオ面接」に切り替える企業もある。 今年は、「インターンの選考に落ちた」と、例年より2カ月ほど早い7月ごろから学生が集まったという。インターンは単なる職業体験にとどまらず、内定につながるとして重要になっている。焦りは切実だ。 「売り手市場」といわれる世代だ。だがリクルートワークス研究所によると従業員5千人以上の企業の求人倍率は0.42倍(2020年大卒)。安定を求めて大企業を目指す人は多い。 女子大学生も「スキルアップを考えるなら大企業。親も望んでいる」と話す。 一対一での自己分析と、グループディスカッションの対策講座があり、内定を得られなければ全額返金をうたう「就活万全コース」。約30万円の受講料は、親が払ってくれた。 中学受験のため、小学校から塾に通っていた。テストや大学の偏差値で自分の立ち位置が数値化され、それが指標だった。就活で急に「やりたいこと」や「個性」を問われ、戸惑った。 「AIに奪われない仕事を」「終身雇用は昔の話」「ベンチャーはリスクが高い」 矛盾だらけの大人たちの言葉は、まるで「脅し」のようだ。正直、「え?」と思う。でも、就活セミナーで聞いた言葉が耳に残る。「大人に反抗したら、それはダメです」 大好きな絵もしばらく描けていない。焦りと不安の中、インターンの応募を続けている。 都内の私立大4年の男子大学生(22)は、今年9月にシステムエンジニア職で内定を得た。待っていたのは、大手商社に勤める父親の反対だった。 「将来子どもが中学受験するとき、40代で年収800万円以上は必要。その会社でその年収は見込めない」 男子大学生は内定を辞退し、就活を再開した。1年余計にかかる学費は親が負担するという。 内定を得た就活生が、周囲の大人から「せっかく有名大に入ったのに」「聞いたこともないような会社はやめなさい」と反対されることは、珍しくない。企業がわざわざ親の同意を確認する「親カク」もある。 (引用終わり) この記事を読んで私は、新卒の時の就職活動は非常にバカバカしいものだった、と思うようになりました。 ここから先は、新卒としての就職活動に失敗した私の社会人としての経験値に基づくものです。 ・「10年後の自分はこうなっている」と具体的に想像できる大学生がいるのか? →私が就活をしていた2008年頃(リーマンショック直前期)は経済がどちらかといえば低迷気味でした。でも「それでも必ず上向くだろう」というみんなの淡い期待は、リーマンショックによってものの見事にぶち壊されました。私の同級生の一人は、不動産会社の内定を取り消されました。 他にも、「リーマンショックでトヨタが大赤字に転落」だとか「東日本大震災で東京電力が原発廃炉・賠償金などで21兆円もの負担を強いられた」というように、5年後・10年後の未来なんてどうなるか分からないもの。また、私の父が言うには、1995年頃の時点では「たくぎんが無くなるなんて、誰も想像できなかった」とのこと。 ひょっとしたら、自分は明日になると死んでるかもしれない。殺されてるかもしれない。10年後の自分を想像するなんて、基本的には全く意味が無いのです。 「10年後にどうなってるか」なんて、所詮は神様とドラえもんしか分からないのです。 ・企業側は「個性の尊重」と謳うくせに、学生側には「リクルートスーツで」という見えない圧力をかけてるのでは? →もちろん、全ての有名企業や中小企業があてはまるわけではありません(私服でも受験可という企業もあります)。 私も新卒で就活していた時は、紺色のリクルートスーツでした。しかし、社会人として働くようになると私はグレーのスーツを着るようになりました。でも「リクルートスーツ」と「スーツ」には機能は大差なし。見た目での違いもほとんどないように見えます。 だったら、(例)「自分はグレーのスーツで行くんだ!」という就活生がいてもいいのでは?と思います。 ・新卒で入社した会社に一生勤める、というのが美徳なのか? →新卒で入社した新入社員のうち、30%以上の人が入社後3年以内に離職するというデータがあります(2013年度は31.9%。厚生労働省の「学歴別卒業後3年以内離職率の推移」より)。 ということは、新入社員の多くは入社先に対して「こんなはずでは・・・」だとか「思ってたのと違う!」という気持ちを抱いていることになります。結果として、ついていけない人は早々に退職してしまう。 よくよく考えると、これは当然のことだと思うのです。係長、課長、部長、取締役・・・と出世するごとにその地位に就ける人は少なくなっていきます。しかも「外部からのヘッドハンティングで課長に就任」・・・というパターンも少なくないでしょう。実力のない落ちこぼれが出てくると踏んでいるのでしょう。これは官僚やプロスポーツ選手の世界でもそうです。 「定年を待たずに退職するのは異常」ならば、私の元上司はすでに「社会のはみ出し者」です。元上司は個別指導塾をチェーン展開する会社を退職し、独立して自分の学習塾を立ち上げました。 私の父は大学院を卒業後、大手フィルムメーカー・A社に就職しました。そこで約20年間働きました。父は、私と弟が生まれたばかりの1989年に東京支社に異動。その後、東京支社で部長といった要職にも任命されました。しかしフィルムメーカーの業界は21世紀になってから変化が大きかったです。父が得意分野としていた仕事がめっきり減りました。その後、2004年にA社を早期退職し、起業しました。上記の論理に当てはめれば、父も「社会のはみ出し者」です。 「新卒が3年以内に離職する」・・・苦しい立場から、1か月の間だけでも自由になってもいいんじゃない?ということから、私は若い社会人の転職には悪い印象は持っていません。 以上の点から私は、大学生の時の就職活動なんてバカバカしい・・・と感じた次第でした。 ちなみに私は2007年秋、豊田通商の採用ホームページを閲覧した際に「『何をしたいのか分からない』そんな心配は当たり前のこと。だって、働いたことが無いのですから」という文言がありました。 最後の「働いたことが無いのですから」というメッセージに少しばかり違和感を覚えてしまいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 31, 2020 10:48:57 PM
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