この日、私は京都新聞の記事で気になるニュースを発見しました。滋賀県(大津地裁)で行われた、児童虐待に関する裁判のニュースでした。職業柄、無視してはいけないと思ったからです。
「親子の愛情」に関する美談がよくニュースになります。しかし、そればかりではありません。「様々な事情で親子関係が破綻した」というパターンもあります。毒親だったり、子どもの非行だったり。今回は「しつけ」と称する暴力で、義理の子どもを追い詰めた男の話です。
虐待された男児「お父さん長く牢屋にいてほしい」 裁判で語った生々しい証言~大津地裁から 司法記者の法廷報告~(7月27日、京都新聞)
2月3日午後。証人尋問で出廷したのは9歳の男児だった。被告と直接会わなくて済むように、別室と法廷を映像や音声でつなぐ「ビデオリンク方式」を使った。「良心に従い、知っていることを隠さず正直に述べることを誓います」。あどけない声が大津地裁の法廷に響く。
事件は滋賀県東近江市の自宅で姉(11)とともに義理の父親(39)から虐待を受けていたというもの。男児は子ども部屋で投げ飛ばされ、右肩を骨折した状況について証言するため呼ばれた。丸刈りにした細身の父親は、うつむき加減でやり取りを聞いていた。
検察官「どうして(肩を)折っちゃったの?」
男児「怒られて、子ども部屋で立たされてた。ちょっとふらついちゃって投げられた」
検察官「誰に?」
男児「お父さん」
小学生らしく元気に答えるため、より痛ましく感じる。男児は「手と足を持って思いっきり投げられた」「痛かった」と証言した。さらに、母親に連れられ病院を受診した時のことを尋ねられると―
検察官「お医者さんからどうしたのか聞かれて、何と話した?」
男児「お風呂洗いをしていて、泡で滑ってこけた」
検察官「それは本当のお話?」
男児「いいえ。お父さんが一緒に暮らしたいならそう言うようにと言った。一緒に暮らしたいからそう言った」
男児は、この日以外にも「覚えていないぐらい」暴力を受けていたことも証言した。
検察官「今、お父さんに対してどんな気持ち?」
男児「長く牢屋にいてほしい」
検察官「お父さんと一緒に暮らしたいという気持ちは今はある?」
男児「ありません」
虚空を見つめるように聞いていた父親は何を思っただろう。被告側は、骨折させる暴行は加えていないとして無罪を主張したが、6月9日、裁判官は男児の証言を信用できるとして、実刑判決を言い渡した。
9歳のけなげな証言が有罪に導いた。けがそのものは治り、父親ともすでに離縁しているとはいえ、幼いきょうだいが受けた心の傷はきっと残り続ける。
≪東近江姉弟虐待事件≫
父親(39)が問われたのは傷害罪と暴行罪。2020年6月、養子だった男児(9)を持ち上げて床に投げ落とし、全治約6週間の右肩骨折を負わせた▽昨年5月、姉(11)を床に転倒させ、後頭部付近を数回足で踏みつけて全治約2週間の顔面打撲傷を負わせた▽同日、男児の下半身をつかんで繰り返し頭から浴槽に沈めた、とされた。
大津地裁は6月9日の判決で、すべての罪について有罪を認定。「しつけと称して理不尽なものも含む多数の約束をさせ、守らなかったとして被害者らに暴力を振るった」と非難し、懲役2年6月の実刑を言い渡した。父親は控訴した。
(引用終わり)
子どもが親に対して抱く尊敬や信頼の気持ち。それが強調されるような、子どもの事故・事件を、私は近年多く耳にしました。「なんで親が大好きな子が・・・あんな事故・事件に遭わないけんの」と思うような痛ましい出来事が多く発生しています。
でも一方で、上記の新聞記事のような真逆のパターンもあります。親子としての絆や愛情が全く無くなり、加害者側が裁判で不利な判決を受けることもあります。
改めて「結婚とは何か」「子育てとは何か」。考えさせられる事件でした。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 3, 2022 07:37:42 PM
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る