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テーマ:鉄道(21874)
カテゴリ:鉄道
東京メトロ(東京地下鉄株式会社)とは、政府(=財務省)と東京都の両者が全株を保有する鉄道会社です。2004年に「民営化された」と言われましたが、その実態は営団地下鉄(帝都高速度交通営団)を「株式会社化」しただけです。1927年の年末に銀座線(上野~浅草間)が開通して以来、都内の地下鉄運営の一翼を担ってきました。
その東京メトロの株式が、早ければ今年夏にも上場されるそうです。超大型の新規上場になりそうです。 東京メトロを新年度中にも上場、東日本大震災の復興財源に(1月26日、読売新聞) 政府と東京都は、両者で全株式を保有する東京地下鉄(東京メトロ)を早ければ2024年度中にも上場させ、株式売却を始める方針を固めた。最終的には50%を売却する。国の保有分の売却益は東日本大震災の復興財源に充てられる。 都は26日に発表した24年度当初予算案で、東京メトロ株の売却に関連した経費として35億円を計上した。国と都は今後、株式市場の動向を見極めながら具体的な時期の協議を進める。 東京メトロ株は国が53.4%、都が46.6%を保有する。国土交通省の審議会は21年7月、それぞれ半分を売却するのが適切とする答申をまとめている。また22年3月に財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が出した答申では、特定の個人や法人に集中せず広範囲の投資家に売却できる方法をとるよう求めている。 復興財源確保法は、27年度までに生じた国が保有する東京メトロ株の売却益は、復興債の償還に要する費用に充てるよう定めている。 (引用終わり) そもそもどうして首都の地下鉄会社の株式を政府が保有しているのか? 前身の営団地下鉄の株主は、国鉄(当時)と東京都でした。国鉄が民営化された後、おそらくJR東日本には引き継がれなかったのでしょう。国鉄が保有していた分を政府が引き継いだ・・・と考えるのが自然だと思います。 それと、東京メトロ株の売却に関連して、都営地下鉄(=東京都交通局)との経営統合の話はどうなったのでしょうか?九段下駅構内の東京メトロ半蔵門線と都営新宿線とを隔てる壁が「バカの壁」と呼ばれていた記憶があります。猪瀬直樹氏が都知事だった時代、その「バカの壁」を撤去して、半蔵門線と都営新宿線が同じホームで乗り換えやすくしたということがあります。それが2013年の出来事でした。 しかし猪瀬直樹都知事が政治とカネの問題で(任期途中で)辞任した後、舛添要一氏、現在の小池百合子氏に都知事の座が引き継がれました。少なくとも小池都知事になってからは、東京メトロと都営地下鉄との経営統合だとか、地下鉄運営の一元化の話は進展が全く見られません。 Yahoo!知恵袋を見てみると、東京メトロと都営地下鉄との合併は「東京メトロにとって何のメリットも無いから」という声が多数あります。私が見つけた解説で、納得しやすいものを転載しておきます。 (2023年7月3日、15:13) 両者の合併はもう何十年も言われていることで、実現しないのは大きな障害があるのでしょう。 まず東京メトロと都営地下鉄の違いを把握しましょう。 東京メトロは、帝都高速度交通営団という営利団体が、行政改革により民営化されて誕生した東京地下鉄株式会社が経営しています。ただし「民営化」したとはいえ、株主は財務相と都知事の2名しかおらず、国と都が共同と経営する第3セクターです。 これに対して都営地下鉄は、その名の通り東京都の部局である交通局が経営する公企業(第1セクター)です。当然その上には都知事しかいません。 次に働く人は、東京メトロは社員、都営地下鉄は職員といいます。つまり都交の職員は都交労という巨大な労働組合に属します。当然ながら東京メトロの社員とは処遇が異なります。 第三に東京メトロ民営化の理由ですが、財務相が株主ということは、分割民営化されたJR各社と同じです。東京メトロ設立の目的・理由にはいろいろな美辞麗句が並んでいますが、要はJR4社と同じく、ゆくゆくは株式を売却し、売却益を国庫に入れようと目論んでいます。 上記を見ると、見えることがあります。 ひとつは、合併するとすれば東京メトロによる都営地下鉄の吸収しかありませんが、公共交通に認められてきた種々な特例が全てなくなる可能性があること。 次に、都交は、とりわけ大江戸線の建設に伴う負債が数千億円あると言われており、これを東京メトロが引き受けることで東京メトロの株式価値を毀損する可能性があること。 第三に、都交職員の身分の変更を伴うので、官公労の激しい抵抗が予想され、妥協するとすれば彼らの処遇をそのままにすることが条件となることが目に見えており、一時的に人件費などの上昇を招くこと。それに伴い、高い都営地下鉄の運賃を引き継ぎかねないこと。 以上が考えられます。 なお、大阪市交通局の民営化は、国が関わらないので、目に見える成果が欲しい大阪維新の会が強行した側面があります。なお大阪市高速電気軌道と大阪シティバスは大阪市が全ての株式を保有しており、東京地下鉄と同じく純粋な「民営化」ではありません。 (引用終わり) (2023年7月3日、14:40) 合併したら、そもそもメトロの運賃が引き継がれるとは限らず、都営地下鉄の運賃に合わせる可能性だってあります 都営地下鉄は採算性より公共性を重視して建設費を回収しにくいところも建設しているので、累積赤字が莫大なこと、人件費が東京メトロより高額なことなど、様々な問題があるので簡単には統合できないのです 人件費が高騰している現状では、都営側の人件費を引き下げることも現実的ではなく、統合を急ぐなら都営側の運賃に合わせてメトロの待遇改善を行うほうが現実的です そうなると、今までメトロと都営を乗り継いでいた人は安くなるかも知れませんが、どちらかしか利用していない人、特にメトロだけを使っていた人は負担増になるだけのおそれがあります よって、反対する人も多く統合は期待薄です そして東京メトロは上場された株を市場に売却する予定なので、統合は将来もできなくなるでしょう (引用終わり) 最終的には高度な政治的判断が求められる話になってしまいました。 今年7月7日の東京都知事選挙で、東京メトロと都営地下鉄の経営統合を掲げる候補者が出てくるのを願っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 18, 2024 06:37:49 AM
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