世田谷区長選挙は保坂展人氏が当選!
統一地方選挙が終わった。前半戦に引き続き、民主党大敗という結果に終わった。民主党は例えば21区議会選挙に177人(前回より28人増)の候補を擁立したが、当選したのは半分以下の87人だった。 わが町・世田谷区でも区長選挙と区議会選挙が実施された。立候補者などについては19日の日記を参照されたい。区長選挙の結果はこちら!(投票率:41.76%) 当 83,983 保坂展人(社民党、国民新党、生活者ネット支持) 78,444 花輪智史(自民党東京都連推薦) 60,340 川上和彦(自民党世田谷区支部推薦) 40,831 菅谷康子(民主党推薦) 9,963 慶野靖幸(共産党推薦) 非常に意外な結果となった。野球に例えれば、9回に逆転満塁ホームランが出たかのような幕切れだった。私も保坂氏が当選するとは、全然考えていなかった。元国会議員というネームバリューもあってそこそこ健闘するけど惜敗になるのではないかと予想していたからだ。 花輪氏当選かと予想していた(石原都知事とツーショットのポスターまであった)が、自民党が都連と世田谷区支部で分裂したのが花輪氏にとって最大の敗因だ。だが一方で、保坂氏の得票率はせいぜい3割。棚ボタ的勝利であり、絶対的な支持を得ていないのは明白だ。 投票3日前の21日、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅前で保坂展人氏と直接話したことがある。 写真の中央やや右が保坂展人氏、中央やや左が応援弁士の田中康夫衆院議員(兵庫8区、元長野県知事)。 ニシケン:私の母は昔の社会党が嫌いだった。理由のひとつとして考えられるのが、「社民党は非現実的なことばかり言う政党だ」という思いがあったのではないかと。 保坂氏:マニフェストに非現実的なこと書いてありますか? ニシケン:(よく読んでみると、多分ないかも・・・。) 保坂氏:ないでしょう。 その後、私が保坂氏に対して様々な問題について長々と質問してくるので、残念ながら制限時間いっぱいとなってしまった。でも事務局の方から名刺をいただいた(保坂氏と握手もできた)。その後、マニフェストをよく読み返した結果、私にとって保坂氏は投票先の最終候補まで残った(実際に保坂氏に投じたかどうかは断言しない)。 なお、保坂氏の推薦人には、亀井静香(国民新党代表)、西崎光子(生活者ネットワーク都議会議員)、宮台真司(社会学者)、田中良(杉並区長)など各氏が名を連ねていた。これも参考になった。保坂氏は社民党出身だが、バリバリ保守の亀井静香氏も彼の推薦人であることが面白かった。 マニフェストの内容は以下の通り(原文のママ)。 (1)被災地支援と災害対策の総点検を。 大震災と原発事故の被害を「オールジャパン」で支えるために、世田谷から手をさしのべ、被災者を区民と共に受け入れます。直下型地震・放射能汚染への対応も含めて災害時プランを総点検します。危険な原発依存社会の転換を求めます。 (2)情報公開で参加型区政をつくります。 隠し事のないガラスばりの区政をつくります。5支所の分権自治、出張所の再生、住民参加システムを整えます。わずか4年間で2500万円の区長退職金は即刻廃止します。 (3)子ども・若者は未来の宝。 国会で児童虐待防止法を提案し、いじめの被害を放置しないチャイルドラインをつくった経験を生かして、保育の充実、子どもの生命を守ります。そのために、子どもオンブズマンを導入します。若者のメンタルケアとやり直しの機会提供、就業・起業支援の取り組みを強めます。 (4)困った時にひとりにしません。 高齢者や障がい者の声、医療・介護・福祉の現場の声を直接聞きます。国や都が制度を持たない支援策で必要なものを区独自に支援します。 (5)世田谷発、日本再生へ。 下北沢・三軒茶屋などの活力ある「文化芸術表現」の世田谷ブランドを世界に発信します。世田谷を「再生・持続可能な新エネルギー」の研究・開発拠点とし、大型開発優先の区政から転換します。 (引用終わり) 保坂氏といえば、中学生で既に左翼の活動家として知られていた人だ(機関紙『砦』も発行していた)。中学校卒業時に成績自体は悪くなかったものの、内申書で「協調性皆無」みたいに書かれて希望の高校に行けなかったのは有名な話(憲法学では内申書事件とも)。最終学歴は都立高校の定時制中退。 だがその後、教育ジャーナリストとして教育の現場を見てきたり、最近では社民党の中では北朝鮮のミサイル発射を厳しく批判したりと、悪い印象があまりない人だ。 だがネット右翼がこの保坂氏の過去にかみつかないはずがなかった。 ヤフーのケータイニュースでは(私の携帯はドコモだが)、産経新聞配信の記事が多く、ユーザーコメントを受け付けているのだが、その記事には「世田谷区民よ、頭がおかしくなったか?」「世田谷区はこれからスラム街になるぞ」といった脅迫めいたユーザーコメントがあった。また「世田谷区民を代表してお詫びします」なんていうコメントも。これらは非常に悪意のあるコメントであることが明白だった。2ちゃんねるでも同様のコメントが多かったが、中には結果を冷静に分析したコメントもあった。「社民党の復活と言うより、争点が原発や生活関連になった、世田谷の土地柄、 保守分裂、そして何より民主党が予想以上に弱体化してたこと、これが大きいんじゃないの?」 「保坂展人が世田谷区長になると区民が不幸になる!」というのは、もはや批判のための批判ですらなく脅迫だ。今回は棚ボタの勝利とはいえ、1989年の参院選で社会党が躍進した時と全く同じパターンだ。共産党出身市長のいる狛江市でも全く同じような境遇にあっただろう。根拠のないデマで住民を惑わすんじゃねえよ! まあ、こういうネット右翼に対してまじめに相手するときりがないので、説得を半分あきらめていたりする(こいつらは頑迷な自称愛国者だから。でも他人に迷惑をかけていることに気づいてるだろうか)。 でも私は冷静になって考え直した。ネット右翼からこう脅迫されたとしよう。 「極左の保坂が区長を務める世田谷区から出てってやる!」 私は「出て行くならどうぞ。私は止めません」と言う。 私はわが故郷・世田谷区が好きだ!だから私は世田谷区を離れない。 保坂新区長にはこれから厳しい区政運営が待っている。世田谷区議会選挙(定数50)の結果は、自民党が第1党(15議席)。新区長の与党になれそうなのは、社民党(2議席)、生活者ネットワーク(4議席)、それに(閣外協力みたいだけど)共産党(5議席)あたりか。合計すると11人前後になりそうなので、小数与党区政になるのは明らか。とにかく、保坂氏はまず区民の誤解を解くことからはじめよう! 保坂区政、がんばって下さい!