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2020/08/09(日)06:00

温暖化で封印された病原菌の蘇る

環境・自然災害(107)

  新型コロナウイルスの感染拡大が収束しても、新型コロナウイルスのワクチンができたとしても、パンデミックの危機は減ったわけではない。  南米やアフリカの開発の拡大にともなって、新たな感染症の発生、拡散の可能性は減ったわけではないからだ。  それに加えて地球温暖化で氷河や永久凍土が溶け出すと、氷に封印された病原菌が蘇る可能性があるという。         ​​​温暖化で溶ける氷、蘇る病原体​……パンデミックの危険性は?Jul 9 2020 NewSphere 新型コロナウイルスの出現で世界はパンデミックに陥っているが、研究者たちは、今後も人類の脅威となる感染症はコロナ以後も出てくると見ている。  その原因になると危惧されているのが、気温上昇による氷や永久凍土の溶解で大気中に放出される病原体だ。  地球温暖化で、新型コロナに続く第2のパンデミックが起こるのだろうか。        ​​ 1月初めに、1万5000年前からあるとされる中国チベット高原北西部の氷河から採取された氷床コア(研究目的で氷河などの深層から取り出した氷のサンプル)から33種類のウイルスが確認され、そのうち22種類は未知のウイルスだったと報告する論文が発表された。  フランスの環境ウイルス学の研究者のChantal Abergel氏は、そもそも地球上のすべてのウイルスを採取することは困難とし、未知のウイルスが発見されても驚きではないと述べている(ウェブ誌『VICE』)。 この論文の著者たちは、こういった氷河から古代のウイルスを発見することは、人為的な気候変動の影響で不可能になるかもしれないと述べる。  気温上昇で世界中の氷河が減少し、その中に長らく囚われていた細菌やウイルスが放出されるからだという。  これは地球の過去の気候システムを解明するという観点では、氷河の中にある役立つデータが減少することにつながる。  しかし最悪の場合、人に有害な病原体が大気中に放出されてしまうこともあるとしている(同上)。        ​​ 実は2016年にシベリアのヤマル半島で炭疽菌の集団感染が起き、2000頭のトナカイが死に、96人が入院する惨事が起きた。  この地方ではトナカイの生肉を食べる習慣があるが、感染した生肉を食べた12歳の少年が死亡している。  その年はシベリアに気温35度という熱波が到来。  永久凍土が解け、75年前に感染したトナカイの死体の中で生き延びていた炭疽菌の胞子が大気中に放出されたことが、感染の原因だと研究者は結論付けた(SWI、テレグラフ紙)。        ​​ ロシアの生物学者、ボリス・ケルシェンゴルツ氏によれば、炭疽菌の胞子は永久凍土の中でも2500年は生き延びるという。  過去に極北の住民は、貴重な薪を動物の死骸を処理するために使いたがらず、永久凍土を掘って「家畜墓地」として埋めてきた。  遊牧民ならそのまま放置して「呪われた土地」として近寄るのを避けたという。  現代ではそういった場所へ一般人が入ることはできず、場所自体も秘密にされている。  永久凍土が解ければ、そこを流れる水などにより、炭疽菌の胞子が運ばれて犠牲者を出すのではないかと懸念されている(テレグラフ紙)。  ― 引用終り ―         ​​  氷や永久凍土の中に囚われている微生物のなかには未知のものが存在する可能性がある。  人間にとって強毒性の微生物や、現代の人類が免疫を持たない病原体が空気中に放出されて活性化されれば、爆発的感染拡大を招く可能性もある。

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