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長旅をしていると誰でも一度か二度、もしくは三、四回は体調
を崩す。スポーツ選手じゃないが、誰でも何処かしらに不調不具 合を覚えながら旅を続けていると言いかえてもいいかも知れない。 なかには、かなり稀だと思うが旅の間ずっと健康を維持しておら れる方もいるだろうが、ま、それは例外としてやっぱり大抵は どっか痛かったり痒かったり熱があったり下痢してたりラリって バッドになっちゃったりするのである。 「ずっと下痢が続いているんですけど、オレ、やばいっスかねぇ。 なんで治らないんだろう。もしかして赤痢かな。コレラって いう線も疑っておいたほうがいいのかなぁ。どう思いますか? やっぱ、オレ、旅に向いてないのかなぁ。やっぱ、日本に帰っ たほうがいいのかなぁ。やっぱ、ここらが潮時なのかぁ。ねぇ、 どう思いますか?オレ、帰ったほうがいいですかね?」 これを一日に二十回から三十回程度リピートする若い方がインド にいた。全身からは常に倦怠感に満ち満ちたオーラを放出しながら 朝、顔を合わせればそうこぼし、飯屋を探していれば道々こぼし、 箸を持つ手を止めてはこぼし、物売りにしつこくされてはこぼし、 トイレから出てきたあとは続けて五回くらいこぼし、寝るまでこぼ し続けるのである。これを書いていてもあまりにしつこくて嫌にな るが、実際にこれを聞かされるともっと嫌になる。オマエ、死ね。 とか言いたくなったが、そこは三十歳(当時)を目前にした立派な 大人の俺であるから優しく言ってあげるのである。「うん。そうだ ね。もう帰ったほうがいいと思うよ。きみの親も心配してる筈だよ、 きっと。わるいこと言わないから帰んなよ、うん、それがいいよ」 俺にそう言われて反駁するのかと思いきや、さにあらず彼は忘れ ていたはずの笑顔を取り戻した上に瞳など輝かせつつ言うのである。 「やっぱ、そうですよね。それがベストな選択ですよね。だって オレ、赤痢かコレラに罹っているかも知れないんだから仕方な いですよね。うん。やっぱそうします、オレ」 翌日、帰国便のチケットを手配しに行くから付き合ってくれと 頼まれたが、それは丁重にお断りさせていただいた。この手の具合 のわるい方は何故かインドに多い。(つづく) ブログランキング登録してみました。時間と気持ちに余裕のある方、クリックどうぞ。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.01.13 18:33:00
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