テーマ:八重山的随筆(111)
カテゴリ:nobel
未開封のままのスナック菓子を鷲掴みに盛栄は、近所
に住む幼稚園仲間の慶田盛淳尚(ケダモリ・ジュンショウ) の家へと向かった。幼稚園生であるのが勿体なくさえ感 ぜられる大義ある名前であるが、淳尚もまた盛栄の同級 生であり、更に言えば生まれたときから同じ部落内に住 み、産まれた病院も同じなら誕生日もたったの三日違い。 父親同士も同級生なら、母親同士は遠い親戚だと言うの だから何かにつけ二人がつるむのは言うなれば運命付 けられていたわけである。 そんな淳尚の家は、隠居暮らしの祖父母が隣には住ん ではいたが、両親共働きで、零歳と一歳になる年子の二 人の弟は保育園に終日預けられていたから、幼稚園が 終わってから夕方までの数時間、彼の家はさながら解放 区と化し、未開封のスナック菓子であろうと飴玉一袋全部 だろうとアイスクリームの詰合せ一箱丸ごとだろうと、はた また紅茶花伝2リットル・ペットボトル一本だろうと盛栄や 淳尚やその仲間たちが勝手きままに飲み食いし散らかし 放題やるのを咎める者は誰一人いなかったのである。 時折、隣家の祖母が子供らの様子を伺いに来るものの 彼女が咎めるとしたらそれは危険行為のみであるから 盛栄らが抑制という行為を覚えるのはまだしばらく先の ことのように思えた。 盛栄の母親にしろ咎めるのは汚すという行為に対して であり、スナック菓子をむさぼり食うことに関してはほぼ ノーチェックであったし、むしろ盛栄や淳尚の親たちは、 間食としてのスナック菓子等の無制限な飲食を懸念する どころか奨励さえしていたのである。理由は単純である。 食べているあいだは基本的に子供らが騒がないからで ある。 同じ理由からビデオやテレビゲームも大量に買い与え た。幼い連中みなでまとめてテレビゲームに興じてもらい、 アニメやロボットものを鑑賞させつつ食べ切れないほど のスナック菓子さえ与えておけば少なくとも一時間半から 二時間という時が大過なく過ぎて行くのだ。だから毎日の ように淳尚の家に集まってくる子供らは皆それぞれスナック 菓子やら缶ジュース持参であり、さながら料理持ち寄りの ミニパーティーでも始まろうという風情である。(つづく) ブログランキングが50位以内に入ってきました。皆さん ありがとうございます。アクセス数も若干ながら増えて きてるようで、少しでも多くの方に読んでもらえると単純に 嬉しいと言うか張りあいがあっていいもんです。という事で 当ブログへの一票を今後ともどうぞよろしく。下の文字列を クリックしてくださればOKです。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.20 07:45:47
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