テーマ:八重山的随筆(111)
カテゴリ:島ネタ
俺は僕は味の素に弱い。 冒頭から主語がダブってしまうほど弱い。 そう。つまり、弱いとは文字通りで、苦手。とか、 好きじゃない。とか、そういう否定的な意味での 弱いである。 もっと言うと身体的にも拒絶反応まで伴い、少々 の量ならまだしも、どんぶり一杯分のスープなん かに小匙一杯も味の素が混入していると五分と経 たぬうちに激しい頭痛に見舞われるのである。 この頭痛の文脈も比喩的に述べているのではなく 本当に、実際に頭痛が発症するのであり、俺も僕 も大人だから頭痛だけならまだ我慢もするが苛烈 な場合だと吐き気、嘔吐、反吐、極度のむねやけ などの劇症に苛まれ、まぁ、吐気も嘔吐も反吐も むねやけもみんな同じようなもんであるわけだが、 ことほど左様に反復表現をとらねばならぬほどに 味の素の過剰摂取は大変に気分も気持ちも悪い。 ま、あんまし味の素、味の素と言うとAjinomotoさん の企業イメージが悪くなってしまうし、それは本意 ではないのでより適切な文章表現とするならばそれ は味の素という一商品名ではなくて化学調味料とい う事になるのであるが、その化学調味料、実のとこ ろ八重山の大半の方は大好きである。いや、むしろ 大好きなどという生易しいところは通り越し、誰し も空気や水がなくては生きていけぬように八重山の 大多数の方々なんかは空気を吸うように水を飲むよ うに化学調味料を至極自然と大量摂取するのである。 そういう状態を指して現代の沖縄、八重山あたりで は「アジクーター」と言う。無論皮肉であるが。 アジクーター。平たく言えば濃い味を好むというこ とであるが、現代の沖縄八重山に限って言えば味が 濃いと言うよりは単に化学調味料に麻痺しているに 過ぎぬわけで、化学調味料が混入していないものを 彼らにして「味がない」とか「味がしない」とか呼ば わり、やれ味の素を使えだの、だしの素を一袋全部 入れろだの、顆粒タイプのほうが使い勝手がよいだ の勝手なことを言う。言い出す。ほざくのである。 これ、実は中華料理の世界でも同様である。ま、知 ってる方は知ってると思うが、鶏ガラだの豚骨だの 使ってスープを取り、調味の段階でそのスープを使 った上に更に化学調味料を加えちゃうのである。こ れ、はっきり言って本末転倒というか、せっかく何 時間もかけてとったスープが台無しと言うか、もう 全然意味がわからない。化学調味料は元々が料理調 理を短縮できるよう本式のスープの代用品として世 に出たものである筈なのに、その代用品のわざとら しい味で本式スープの香りもコクも打ち消してしま うなんざ基本的に下手糞である。火の入れ方や調味 のバランスなんかが悪く、化学調味料でごまかすし か手がないと言っているのと同義なのだから。 ま、下手糞な中華はともかくも八重山のアジクーター 症候群は、化学調味料に対して拒絶反応を伴う私に とって非常にせつなく、外食可能な店や料理が限ら れてしまうのである。むろん化学調味料を使わない ことを売りにする店舗もあるにはあるが大抵は本土 出身者が経営する店であり、島の方が経営や運営に 携わる飲食店では厨房に置かれた棚板の上で化学調 味料の業務用袋が山積みされており、俺はその光景 を目の当たりにするたびに卒倒しそうになるのであ る。 ま、本当に卒倒したことは勿論ない。 でもプロなんだから化学調味料はいい加減卒業しま しょうよ。ね、八重山の飲食店の皆さん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.06.14 08:32:56
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