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職の精神史

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2008.06.20
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カテゴリ:思ふこと/旅日記

最近、「大橋文庫」に行ってみた、という学生の声を聞くようになった。



FUNの学生、中でも「近現代史勉強会」に参加している学生なら、だいたいみんな名前は知っている名物古本屋さんだ。



なぜ「名物」なのか?



それはとにかく、お店の中の状態がすごいのだ。




そのすごさを味わうため、まずはこちらを見てほしい。



店内を隈なく撮影した方のブログだ。どなたかは知らないが、古本好きの方のようだ。



【衝撃の店内の様子はこちら】



…と、まぁ、こんな感じなのである。




しかも、これは最近こうなったのではない。私は10年ほど前から時々行っているが、ずっとこうなのである。



大橋文庫は、



1)一人では行けても買えないことがある。


2)店内に入れる人数は三人、女性なら四人が限界である。


3)看板に書かれている営業時間が当てにならない。


4)20年前の物価水準のまま埋もれている本も多い。




という魅力的なお店だ。




もっとも、古本業界は独特の世界観を持った人が多く、大名にある「痛快洞」なども、営業時間中に、電気をつけっぱなしにしたまま、「3時間外出してきます」などと貼り紙がしてあることがある。



私は絶句した。



「いつから3時間なんだ?」と。



しかし、また同じような貼り紙を見て、「30分出てきます」、「1時間不在」などと様々なバリエーションがあるのを見て…



この業界の人々は、顧客への思いやりがあるのかないのか、一体どっちなのか、人間性を深く考えさせられた、というのは嘘だが、「活字文化の危機の中、なんておこがましい業界なんだ!」と魅力を感じた。




一、「一人で行けても買えぬ」



商品の陳列、いや、「山積」がひどいため、仮に名著を見つけても、他の「山」を崩すのが大変で、買えないことがある。



私は以前、この山を隈本さんや大月さんと、またある時は一人でせっせと切り崩し、



「兄小林秀雄との対話」…4冊


「美に生きる」…4冊


「春宵十話」…3冊



などを見つけてきた。



まぁ、それらは全て学生にプレゼントしたのであるが、私のレジュメには、こういう肉体労働の努力も詰まっているのである。



いわゆる「労働価値説」だ。




二、店内に入れる人数が少ない。



だから、大人数で行く時は、近くの大橋ブックオフと時間帯を分けるか、あるいは「珈琲館」で待っていてもらうことにする。



レイテ沖海戦のように、三人単位で「第一攻撃部隊」、「第二攻撃部隊」、「第三…」とやっていかないと、店内を回れないのである。



しかも、いくら攻撃しても、山積した本の山は旅順要塞のようにビクともしない。



通路は狭く、歩く時はクラシックバレエのような緊張感が漂う。



本棚は近く、概観しにくい。



下の方にある本などは、男性の体格では、見ることさえ不可能なのではないだろうか。まるで、ラジオ体操をさせられているようである。



三は飛ばして、四、物価水準。



くしくも大月さんも発見したように、このお店の本の「地層」を掘っていくと…



「古い地層ほど新しい」



という、科学では解明できない現象が起こる。




開業は25年ほど前ということだが、昔は一冊一冊をビニールカバーに入れ、値札を入れて、丁寧に陳列していたのであろうか。



この時期は「白亜紀」や「ジュラ紀」と言えるだろう。



今は、本の裏側に鉛筆で小さく数字が書いてあるが、昔の在庫は、値段を書いた紙が袋の中に入っている。



…といふことは?



「値段が書き換えられない」のである。



つまり、昭和50年代から、わが国の物価は2倍ほどに上昇しているが、このお店の本は、その当時の物価のままなのである!



こ、これって…。



「デフレ」だ。



つまり、このお店に足を踏み入れた瞬間、その空間は昭和50年代~60年代の物価水準にあるのだ。



なんとお得なお店なのだろうか。




みなさんも、ぜひ足を運んでみてほしい。



もし、運悪く閉まっていたら、隣のお店がおいしいという噂を聞くから、そこか、大橋ブックオフに行くのもいいだろう。



以上、「閉ざされた古本空間」の旅行記であった。





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Last updated  2008.06.20 18:42:43
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