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2003年05月25日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
先日りそなについて触れたとき、銀行の再建には貸し渋りや貸しはがしをして不良債権をなくすことが必要だと書いた(筈)けど、なにやら石原さんが「都が出資して新しい銀行を作る」と計画を発表したとか。これは既存の銀行が不良債権処理のために中小企業などへの融資を渋ったり、停止したりして、中小企業の経営が苦しくなっていることを鑑み、高い技術力があっても土地などの担保がないため既存の金融機関から融資を受けにくい中小企業を主な貸出先にするんだとか。

不況でデフレで、とりわけ大手企業の下請けをしている部品製造などの中小企業は大幅なコスト削減を要求され、なおかつ取引量を大幅に削減されたりして苦境に立っています。金融機関からの融資が引き上げられて倒産に追い込まれるケースだって少なくありません。だから、苦しんでいる中小企業に積極的に貸し出しをするってのは理念としては間違っていないし、そういう方向の議論をすべきだと思います。しかし、都と言う公的機関が銀行経営に着手すると言うのはちょいと首を捻りたくなるものがあります。

まず、設立される銀行の性格についてですが、都民の税金を出資金に当てるわけですが、資本金2000億円の50%超の出資となれば公的機関の都がオーナーと言うことになります。石原さんは「都は経営に口を出さない」方針だとしていますが、利益追求が主となる民間企業とはどうしても一線を画することになると思われます。設立の目的である中小企業支援を徹底的に推し進めるために利益追求をしないなら、利益追求をしている他の金融機関は勝負になりません。「儲けなくてもよい」と「損を出さなければよい」は根本的には違うんですが、「儲けなくてもよい」が中小企業支援に熱心になるあまり、「損を出しても構わない」に変わってしまう危険性を孕んでいます。基本的に公的機関は「公共のため」と言う名目でお金をばら撒き、そのお金を回収しないで平気な体質がありますから、民間企業みたいな金銭にシビアな経営にならなくてもちっともおかしくありません。そのとき、この銀行自体が大きな赤字を抱えてしまうと同時に、他の民間の金融機関もビジネスチャンスを失って経営危機に陥りかねないんです。いわゆる「民業圧迫」と言う奴です。民主主義の社会では公的統制が必要なもの(軍事や外交など)以外は民間に任す「小さな政府」が基本で、民間の仕事を公的機関が奪うクラウディングアウトになってしまったら本末転倒もいいところでしょう。

そういった意味で、公的機関がオーナーとはいえ、民間企業並みのシビアは経営をしなければなりません。この場合、一番問題となるのは「担保がなくても貸し出す」と言う点でしょう。ベンチャー企業などで、技術はあっても他に何もない場合、普通の金融機関なら「担保がないから貸せない」と言うことになりますが、それでは設立趣旨に反するので無担保でも融資を行うようです。ところがこの無担保と言うのが曲者です。「高い技術力を持っている」のが土地などの有形資産代わりの無形資産として担保価値があるとするわけですが、この技術力を誰がどのように評価するのでしょう?技術力があっても経営手腕に欠けている経営者など腐るほどいます。そういう経営者の中小企業に融資して返済が滞った場合、追加融資をして雪ダルマ式に債権を増やしてしまうのか、融資をストップして倒産させてしまうのかの判断を誰が下すのか?金融機関の特別背任事件と言うのは返済不能に陥った企業へ担保もなく追加融資を行って結局すべて回収できなくなったケースが多いのですが、最初から無担保融資である今度のケースでは融資先企業が経営に失敗したらなにも回収できずにパーになるんですよね。これに対して「通常よりは貸倒引当金は多く積む」としているようだけど、そのためには貸出金利を引き上げないとコスト的にペイしない。まぁ、一種の高利貸しに近いものですね。

しかし、貸出金利を引き上げて中小企業に融資した場合、このデフレで不況の時期にまともに返済できるのでしょうか?中小企業の場合、運転資金がショートして、代金回収までの時期を凌ぐお金が欲しいケースが多いんですけど、代金が必ずしも回収できないケースもあるし、何せ仕事自体が消滅してしまうケースも少なくないからいくら融資を受けてもそれを返済する目処が立たないことだって十分ありえる。他の金融機関から借りれなくて泣きつくようなケースは個人の多重債務者と同様、破産の数歩手前である可能性が低くありません。簡単に言えばババを掴む危険性が高いんですよね。まぁ、金利が低ければまだ少しは返済できるかもしれませんが、倒産の確率が高い企業に低金利で融資するのはリスクが大きすぎてまともな経営感覚があるなら絶対にしません。

まだまだ他にもいろいろあると思うけれど、なぜ中小企業が既存の金融機関から融資を受けられないかと言うとリスクが高すぎるからであり、融資した場合単に不良債権が増えるだけと予測されるからなんですよね。だけど、中小企業を守らなきゃいけないから、既存の金融機関がダメなら新しい銀行を作ろう、と考えるのはいわゆる熱血漢ならやりかねないことですが、シビアなビジネスの社会では生き残りが難しいでしょうね。そういった意味でこの銀行計画は不況から脱出するタイミングにピッタリあって、中小企業が回復する時期に開業するのでないなら、他の金融機関のババを一手に引き受けることになって数年でパンクするでしょう。ネットバンク各行がいまだに赤字に喘いでいることをみれば解るように、銀行業務は簡単じゃないし、だから大手銀行でも経営危機に陥ったりするんですよね。

石原さんはこの銀行の貸倒が多くなった場合に税金を投入するのかと言う質問に対し、「そういう質問は幼稚で粗雑だ。(税金の投入は)ない」と答えてるそうです。この答は石原さんの危機管理姿勢の虚弱さを表していると思われる。施政者は常に先憂後楽で最悪のケースも想定して施策に当たり、だからこそあらゆる困難も乗り越えられるのであって、楽観的にものごとを考えるのは施政者にあるまじき行為なんですよね。まぁ、民間の意識高揚のために景気の好いことをわざと言わねばならないこともありますが、最悪のケースが起ったとしても事前に対策を採っていれば被害もさほどのものでなくなることを承知していれば、こういう話は単なる杞憂と言うことになるんですけどね。

税金を投入して銀行を作り、失敗して税金で穴埋めをしなくちゃならなくなった場合、石原さんはいったいどんな責任を取るのでしょう?私財をなげうって都民に謝罪するなら良いのですが、そのときには都知事の椅子に座っていなくて知らん顔をするんじゃないかって気がします。最悪のケースの場合の対策シナリオが提示されない限り、この銀行設立については机上の空論以上のものではなく、評価の価値すらないとしか言いようがないでしょう。まぁ、単なる人気取りのためのパフォーマンスなんでしょうね(爆)





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最終更新日  2003年05月25日 13時57分51秒
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