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 NOB1960@ Re[1]:無理矢理持ち上げた結果が…(^^ゞ(10/11) Dr. Sさんへ どもども(^^ゞ パフォーマン…

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2005年06月17日
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ツーことで新シリーズ開始です。とはいっても、今日の分は前回のおさらいというか、楽俊がいないところで起きたことを書いています。そう、戴国のその後の話なんですね。一応は「天の裁可」で決着がついたことになっていますが、驍宗ってどうなるんだってこともあるんで、そのことにも決着をつけようと思います。で、具体的な話は明日以降で、今日は「天の裁可」で李斎が冢宰にさせられてしまう辺りについて書いています。蓬山というのは謎だらけというか、呪のせいで前とは違う場所に連れ込まれたりとか、わけわからない場所です。おそらくは碧霞玄君・玉葉が扉を叩く時に呪を唱えて行く先を変えているんじゃないかと思うんですが、確証は全くありません。その辺の描写について書こうとすると原作の丸写しになりそうなのでやめました。若干蓬山の様子について書いたけど、どうしても原作通りにしか書けませんからね。丸写しなら書かないほうが良いってことで描写がスカスカになってしまいました(T_T) 玉葉や王母(今回は出てこないけどいずれ出てくる)の言葉遣いとかも今ひとつ把握できていないんで変かもしれませんが、ご容赦ください。とりあえずこんなことがあったということですから… よろしくお願いします。


「蓬山にて」

白圭宮から玄英宮を経て蓬山へ、雲海の上を趨虞に乗って飛ぶ。李斎は趨虞に乗るのは初めてだった。これまでは愛獣の天馬・飛燕で飛び回っていたが、如何せん天馬では趨虞や使令と速さが違いすぎる。以前金波宮から蓬山へ向かう時は飛燕で丸四日かかった。趨虞なら一昼夜でいけるのに、だ。今回は雁国通士の楽俊から趨虞のみけを借りた。隻腕の李斎にはどうかと思ったが、どうにかなりそうだ。李斎のすぐ後ろには使令の傲濫に泰麒と汕子に抱きかかえられている驍宗が乗っており、その左右には延王と景王がいる。延王は趨虞、景王は使令の班渠にまたがっている。白圭宮から向かうのは初めてだが、自然と李斎が先導になった。李斎の気が急いているせいでもあるし、王でも麒麟でもない内宰に過ぎない自分がのんびり後ろからついていくわけにもいかない。延麒の使令である悧角が遁甲して李斎よりも先に玄英宮に知らせに行き、短い休息を取ってすぐに蓬山に向かった。李斎は蓬山に向かうのがこれで三度目だった。蓬山へは金波宮よりも玄英宮のほうが近いし、趨虞だからなお速い。蓬山は五山東岳で山頂には白く壮麗な廟堂が建つ。その門前に佇む人影がある。玲瓏とした女がこちらを見上げている。以前にも出迎えてもらった碧霞玄君・玉葉だ。玉葉の前に真っ先に降り立った李斎は膝をつき、挨拶をする。

「お出迎えありがとうございます。この度参りましたのは泰王驍宗が発見されたご報告と今後のことについてご相談が」
「みなまで言わないでもよろしい。景王、延王もしばらくぶりですね」
「お久し振りです。突然参りましてご迷惑だったでしょうか?」
「景王はいつも誰かのために一生懸命ですね。前回は泰麒、今回は泰王のためですか」
「は、はい」
「で、それが驍宗なのですね」
「…はい」

汕子が驍宗を抱えて傲濫から降ろす。泰麒は先に下りてそれを手伝う。その瞳は不安で一杯のようだった。驍宗の身体は玉葉の後ろに控えていたらしい女仙たちによって玉葉の前に横たえられる。玉葉は驍宗に軽く触れてみる。

「以前つれてこられた時の泰麒は酷い穢瘁でしたが、これはまた…」
「いかがでしょうか」
「どうも薄い玉の皮膜に覆われているようですね。それに… 泰麒、驍宗に王気は感じますか?」
「い、いえ… まだ、私の力不足なのか、感じることはできません」
「なるほど、麒麟も王気を感じぬか… これは詳しく調べねばなりません。今晩一晩預かろう」
「で、では!」
「わからぬ… あちらに運びなさい」

玉葉が命じると女仙たちは驍宗を軽々と運んでいく。玉葉は一つの祠の扉を叩くと一同を促してその中に入っていく。その祠の中には白い下に向かう階段があり、それを降りきると白い建物の中に出た。呪が施されているのだろう。八角形に緑に苔生した岩肌に囲まれ、一面だけが白い壁…そこに今通ってきたはずの扉があるはずだが今は見えない。その中央には茶器が用意された卓子が据えられている。女仙たちの気配はない。

「さて、人払いをしたが… 泰麒、こちらへ」

玉葉は泰麒を呼び寄せるとその額の辺りに手をかざし、何かを探るような視線を投げかける。

「ふむ、角が再び生えて来始めておるようじゃ。ただ、軽く穢瘁も感じられる。民の不安や憎しみがおさまっておらぬようじゃな。で、使令たちはよく言うことを聞くか?」
「は、はい。返して頂いた当初は時折言うことが聞けぬようでしたが、今はそういうこともなくなりました」
「さもあらん。泰麒は麒麟としての力を取り戻しつつあるようじゃ。最初に蓬山に戻ってきた頃よりも力はある。王気が感じられぬはずはないはずじゃ」
「し、しかし…」
「ということは、驍宗のほうに王気がないということじゃの。既に王ではないかも知れぬ」
「けれども白雉はいまだ落ちておりませぬ。白雉が落ちていなければ王は健在ということではありませんか?」
「それが解せぬのじゃ。一体何があったというのじゃ?」
「はい。…何でも桃幻香という薬を塗った冬器で刺され、意識を失ったところを玉泉に投じられたとか」
「桃幻香?もしかして麒麟の卵果の欠片とか、その国の王の頭骨だとかで作られるあの邪薬のことか?」
「そうらしいです。どうやって手に入れたかは阿選でないとわからないらしいのですが…」
「なぜ解明せぬ。極めて由々しき事態なのじゃぞ」
「阿選は幻術に秀でています。その手足の自由を奪い、眼や口を封じなければいつ操られてしまうかわかりません。それほどまでの術者なのです。阿選が寝ているときに捕えることに成功しましたが、供述を取ることさえままなりません」
「何?」
「桃幻香のせいかもしれませんが、戴の百官がほとんど阿選に操られていたのです。桃幻香を調合していた大司空・琅燦が投降していなかったなら今も阿選を捕らえることはできなかったでしょう。その琅燦もまた阿選のもたらした文献や材料をもとに調合しただけで、解毒法などについてはわかっていないようです」
「天仙が気まぐれでそのようなものを作ったとかいう噂は耳にしたことがあったが…」
「私どももいまだに信じられません。が、阿選はそれで戴の王として君臨していたとも言えるのです」
「ああ、その阿選に泰麒は角を断たれたのでしたね」

玉葉が一つ頷いてみなのほうを向いて言う。

「本日はゆるりと休まれるがよかろう。女仙たちに宮を用意させますので。明日の朝にでもお目にかかりましょう」
「はい」

玉葉は立ち去り、李斎たちは女仙に案内されて宮の一つに落ち着く。李斎が小さく溜め息をつく。

  *  *  *  *

翌朝、玉葉が宮を訪ねてきた。女仙たちが驍宗を運び入れ、臥牀に横たえる。

「驍宗は桃幻香で昏倒した後、おそらくは術者によって魂魄を抜かれておるようだ。魂魄の行方はわからぬ。おそらくはその術者が隠しておるか、術者が既に魂魄を喰らった可能性もある」
「魂魄が抜けている?」
「そうじゃ、だからこれは驍宗であって驍宗ではない。しかし、白雉が落ちていないから死んではおらぬようじゃ」
「で、では、元通りになるんですか?」
「わからぬ。魂魄の行方がわからねばなす術がない。仮に魂魄を取り戻しても玉に覆われた身体では… 魂魄が入らぬかも知れぬな」
「ええ?」
「通常術者が死ねば術は解けるものじゃが、術者とともに魂魄も失せるかも知れぬ。どう転ぶかわからぬ」
「そ、そんな…」
「今のところ驍宗は治る見込みはない。が、王であることには変わりはない。いずれ魂魄が滅すれば死ぬであろう。それまでは王でありながら王の務めが果たせぬので、李斎が冢宰としてすべての務めを代行せよ」
「え?」
「ニセの白雉の肢は処分し、それに基づくものは反故とせよ。玉璽の使用もまかりならぬ。冢宰の印璽でこれを代行するように。路木に願いをするほかのことであれば冢宰の権限でやってよろしい」
「泰王はもはや治らぬのですか?」
「王母も天帝も治しようがないという。唯一術を施したものも素直に術を解くとも思えぬそうじゃの?治る前に魂魄が潰えるようじゃ。白雉が落ちれば次の王を選べばよい。極めて異例のことじゃからのう」
「…それにしてもなぜ私が冢宰などに…」
「ただ人で蓬山にこれほど来るものも珍しい。しかも、王母に会うこともそうじゃが物申すとは稀有のものじゃろう。それなりの覚悟のほどを見せてくれぬかの?」
「…は、はぁ…」
「白雉が落ちたら泰麒は次の王を決めなされ。李斎はそれまで冢宰じゃ」
「…は、はい…」

それ以上は何も語ることなどなかった。四騎は驍宗の抜け殻とともに白圭宮へと帰っていった。 





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最終更新日  2005年06月17日 13時06分08秒
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