ワーグナーの楽劇四部作「ニーベルングの指環」
映画「ロード・オブ・ザ・リング」にも影響を与えたワーグナーの大作「ニーベルングの指環」 音楽史上空前の超大作(四部作通すと全16時間)。
中世から伝わるドイツと北欧の英雄叙事詩を基に、ワーグナー自身が台本を書き作曲。
1876年8月にバイロイト祝祭劇場の柿落し公演としてワーグナーの演出、ハンス・リヒターの指揮により初演。
神族と人間そして地底のニーベルング族が世界を支配する力を持つ黄金の指環を巡って繰り広げる愛憎のドラマ。
第一日目にあたる序夜「ラインの黄金」
ではニーベルング族のアルベリヒがラインの黄金から権力を持つ指環を作るが神々の長であるヴオータンに奪われ指環に呪いをかける。
ヴォータンはヴァルハラ城を築いた報酬として巨人族兄弟(ファゾルト&ファフナー)に指環を渡すと、兄弟は殺し合いを始める。
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序夜「ラインの黄金」 (155分51)
出演
ヴォータン:ジョン・トムリンソン
ドンナー:ボード・ブリンクマン
フロー:クルト・シュライプマイヤー
ローゲ:グレアム・クラーク
フリッカ:リンダ・フィニー
フライア:エヴァ・ヨハンソン
エルダ:ビルギッタ・スヴェンデン
アルベリヒ:ギュンター・フォン・カンネン
ミーメ:ヘルムート・バンプフ
ファゾルト:マティアス・ヘレ
ファフナー:フィリップ・カン
ヴォークリンデ:ヒルデ・ライトラント
ヴォルグンデ:アンネッテ・キュッテンバウム
フロースヒルデ:ジェーン・ターナー
演出:バリー・クプファー
装置:ハンス・シャフェルノッホ
衣裳:ラインハルト・ハインリヒ
指揮:ダニエル・バレンボイム
演奏:バイロイト祝祭劇場管弦楽団&合唱団
(1991年&1992年バイロイト祝祭劇場)
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管理人が聴いた演奏は1991&1992年のバイロイト祝祭劇場(バレンボイム指揮)での実況録音(DVD収録)
奇しくも13日から連日CS放送クラシカ・ジャパンでも指環四部作を放映していますが、こちらは1980年のバイロイト(ブーレーズ指揮)でのもので勿論、録画も怠り無く実行中です。(笑)
さてクプファー演出、バレンボイムが指揮した1991年のプロダクション。
序夜の「ラインの黄金」
世界を支配できる魔力を持った黄金の指環を巡り、神々とニューベルング族の策略が描かれたプロローグ的な物語。
衣裳は奇を衒ったものではなくてオーソドックス、舞台装置もやや簡易的ですが照明の工夫がなされて説得力はあり、(レザー光線を駆使したり)
巨人族の兄弟は大掛かりな衣裳(装置?)で登場、普通の人間の3倍以上の背丈の大きさで
恐らく舞台での移動はモーター駆動で動作しているのでしょう。
地下のニーベルング族の場面は舞台が大きく下から迫り出してきます。
やはり圧巻はラストの「ヴァルハラ城への神々の入城」でこれから続く物語への期待感をイヤが上でも守り立てて素晴らしい。この舞台ではエレヴェーターが上昇するが如く中央のカクテル光線の中ヴォータンを始めとする神々の一族がゆっくりと上昇して行き幕となります。
歌手陣はみなさん持ち味を出していますが特にヴォータン役のトムリンソンの朗々とした
響きの歌唱、ローゲ役のクラークの軽妙な演技と張りのある高音、ニーベルング族のアルベリヒ役のフォン・カンネンの熱い演技と歌唱が光りました。
バレンボイム指揮するバイロイト祝祭管弦楽団も非常に緻密な響きとコントロールされた
音楽を奏しています。特にピット奥から響いてくる弦の低音が生々しい迫力です。
それとこの年の金管楽器のメンバーは燻し銀的な音色と力強い響きで特に素晴らしい。
次回は指環4部作第1夜「ワルキューレ」。。。
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