ロンドンの夏の音楽祭プロムス1987から
シェーンベルク「グレの歌」をDVD鑑賞
指揮:ピエール・ブーレーズ
管弦楽:ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレートブリテン
合唱:BBC合唱団、BBC交響合唱団、ブライトン祝祭合唱団、フィルハーモニア合唱団
(トーヴェ)ソプラノ:ジェシー・ノーマン
(山鳩)メゾ・ソプラノ:エリザベス・ローレンス
(ヴァルデマール)テノール:ヴァルター・ラファイナー
(道化クラウス)テノール:ケネス・リーゲル
(農夫)バリトン:ジョン・ブルーラー
(語り):ゲルト・ニーンシュテット
~1987年ロンドン・ロイヤルアルバートホール
マーラーの「一千人の交響曲」と並びオーケストラ史上最大規模の
作品の1つに数えられる「グレの歌」、
弦楽器だけでも20型90人近いメンバーであり合唱団もパイプオルガン
を挟んだ両脇の上下階にずらりと並ぶさまは壮観だ。
シェーンベルクが12音技法を取り入れる以前の後期ロマン派的爛熟期の
大作であり言わばステージ形式のオペラといってもいいだろう。
デンマークの詩人ヤコブセンの戯曲を題材にした2時間にも及ぶ作品で
ヴァルデマール王と若い娘トーヴェ、そして嫉妬の余りトーヴェを
殺してしまう王妃ヘルヴィッヒ、悲歎にくれるあまりヴァルデマールは
神を呪い、そのために天罰を受けて死後悪霊となり国中をさまよう。
しかし、
肉体を失ってもなおヴァルデマールを愛し続けるトーヴェの魂によって
救済されるという何やらワーグナー的な雰囲気であり、物語の割には
時間もやたら長いという共通点も、(笑)
さて演奏の方は
既にBBC響とのディスクもあるブーレーズお得意の作品を
イギリス全土から集まった若い演奏家たちを相手に
鋭い分析と見事な統率を見せている。
若いオーケストラも熟練の技はないにしてもシェーンベルクの
無調音楽以前のロマン色を鮮やかに表現しているのには感心させられる。
歌手ではトーヴェ役のソプラノ・ジェシー・ノーマンの存在感が際立っており
当時の彼女の歌唱はまさにレインボウ・ヴォイスだ。
もちろん他の歌手たちもそれぞれの役割を見事に果たしている。
しかし、正直言って前半の第1部第2部はやや単調で今日のように
風邪気味の体調ではしんどいが、我慢しながら聴き続けると
第3部の救済での語りのあとの全合唱団による
大団円で終わる圧倒的なフィナーレの感動が味わえる。(笑)
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