ある日どこかで

2011/06/20(月)16:08

『ある子供』

ベルギー映画(2)

≪ブリュノは更生できるのか?≫ 以前から観たいと思っていたのが、先日やっと観る事が出来ました。 20歳の青年ブリュノは少年達を使い、盗みを働きそれを売るようなその日暮をしていた。彼には18歳の恋人ソニアがいるが、彼女との間に子供が出来た。その子をジミーと名付けたソニアはブリュノに真面目に働いて欲しいと頼むが、彼には親になったと言う自覚はなく、お金に困って軽い気持ちでジミーを売ってしまう… この監督の作品は初めて観ましたが、噂どおり、まったく音楽がなくドキュメンタリータッチで描かれており、題材が題材だけに大変リアルに感じました。 若いブリュノとソニアの関係は無邪気そのもの。考え無しに子供を作ってしまう事は両方に責任があるけど、それでもソニアは出産を経験し、母親の自覚はすぐに芽生えていく。一方ブリュノはどうしよもうもない。本当にどうしようもない。 子供を売るという行為。養子縁組ならまだしも、この背景には闇の組織が絡んでいる雰囲気で、何がたくまれているかわかりゃしない。このブリュノという人間は、未成熟という言葉で済まされない、人間としての感情が少し欠けているのではないかと思います。 しまいには大切なものを失い、それを取り戻そうとする姿をカメラは追っていますが、ジミーを売ってからの後の行動で、彼は大人になって行きかけているのかもしれません。 ただ、その行動も心底自分が悪いと思ってとった行動かは量りかねます。ただソニアに捨てられたくないだけじゃないか、闇の組織の人間から逃れる為ではないか、なんて。 だけど、これはベルギーに限った事ではないような話なんですよね。日本でも同じ。格差社会がこういう現象を生んでいる、とはそれだけではないと思うけど、家庭や学校のあり方とか、地域が子供達を育てるとか、そういうことを真剣に考えない限りどこにでも多く起こり得ること。熊本市の病院が「赤ちゃんポスト」を設置する申請を出した事が話題になっていますが、これは必要かもしれません。捨て子が増えるかもしれない、と言う不安はなくはないのですが、虐待されたり、まともに育てられなかったりするよりは、大切な命を育むのに必要な施設かもと。私はこの映画を観た後だったので、特に考えさせられました。 L'ENFAN / THE CHILD 2005年 ベルギー/フランス 監督/脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 出演:ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソア、ジェレミー・スガール DVD

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