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2021.05.20
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カテゴリ:好き
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                           ​​2020年に一番悲しかったこと 1

             ★☆━━━━━━━━━━━━━☆★


       
ずいぶん昔、隣町の大通りのある一角に、たまに献血車が来ていることを、男性が「献血にご

       協力お願いしまーす」と、拡声器を使わず肉声で呼びかけて回っているのが聞こえたことで知

       った。献血は高校の時に2回しただけで、以降機会が無かったので協力したかったけど、子ども

       が小さい頃だったためにできなかった。

       たぶん定期的に来ているのだと思うが、献血車の来る日時など具体的なことは知らなかった。そ

       うやって肉声と徒歩で告知して回っているということは、毎回担当者がこの辺まで呼びかけに来

       るとは限らないので、なかなかタイミングが合わないもんだなと思い、時は過ぎた。

       あれは、どれほど前のことだったろう。そう思って非公開日記を検索したが、その想い出は書い

       てなかった。手書き日記の頃かな?と思うと、検索ワードの入力とクリックだけで探し出せるパ

       ソコンって、本当に便利なアイテムだなぁとつくづく思う。

       もう子どもには、さほど手がかからなくなっていた頃には間違いない。2020年に二度と逢えなく

       なってしまったことが判った彼女に、近所での買い物以外で偶然逢った事があった。たぶんその

       日私は、献血を呼びかける声を家にいて聞いたんだと思う。献血車が停まっている場所へ行って、

       受付の順番を待っていた時だった。

       「結さん、こんにちは」

       声だけでもわかるけれど、振り向くと彼女の笑顔。訊けば彼女も献血に来て、終わったところだ

       と。彼女が”そういう人”であったことが、今さらのように嬉しかった。久しぶりに逢ったので、

       もし時間があったら近くの喫茶店でお茶でも飲まない?と誘うと、時間はあるというので待って

       いてもらった。

       受け付けで質問用紙を渡されたんだったか、直接質問されたのか覚えていないが、結果私は献血

       ができないことが判った。医師から処方された薬を常用していたからだ。なるほど、そういうこ

       とか…。

       説明を聞きながら、私は薬の副作用「スティーブンス・ジョンソン症候群」で視力を失った、日

       本人ヴァイオリニストのドキュメンタリーを観たことを思い
出していた。そして、もう献血さえ

       できないことが、ちょっとショックだった。

       どうしてこの話を書こうと思ったかというと、その日献血はしていないのにたぶん献血した人と

       同じ品物を、こ…こんなには要りませんが…という程渡され、物をいただけること自体とその量

       に驚いたものだった。私のことだから、献血をしていないのでいらないと断ったと思うが、そこ

       で押し問答をするのは順番を待っている人の迷惑になるので、仕方なく受け取ったんだと思う。

       その品物の中の一つに「なっちゃん」というジュースのキャラクターの、オレンジ色のマグネッ

       トがあって、今年新しい冷蔵庫の横にくっつけたので、そう言えばこれはあの時の…と思い出し

       たのだ。

       それで、彼女と近くの喫茶店でコーヒーを飲んでお喋り。何を話したかはもうあまり覚えてない

       けど、一つだけとてもよく覚えていることがある。それが普通のことだからそうしていただけの

       ことだったのに、もしかしたら私は彼女にお礼を言われたのかな?と思うことだった。

       彼女には二人のお子さんがいて、お兄ちゃんの近況を訊ねた時に、「結さんはいつもH(長男)

       に挨拶をしてくれた」と彼女が言った。上のお兄ちゃんは自閉症だった。他人にあまり関心を示

       さないと言われている自閉症だが、Hくんもやはりそうだった。でも視線が合わなくても彼から

       返事は無くても、顔見知りの人に逢ったら挨拶をするのは極普通のことなので、ただそうしてい

       ただけだった。

       それを彼女がわざわざ口にしたという事は、Hくんが自閉症と知っている人で、彼に挨拶の声を

       かけない人がいたのだろうなぁ。目の前に子どもがいても、いないかのように声をかけないって

       ことが無ければ、ただの挨拶のことを私に言いはしないだろう。自閉症の子を持ったお母さ
んは、

       
そういうことも経験しているのかと…。

       私が知らない苦労をたくさんしてきただろう彼女は、いつも落ち着いたやさしい人だった。いや、

       彼女がそれを苦労だと思っていたかどうかは、そこまで突っ込んで話したことが無いので、わか

       らないんだけど。

       醸し出す雰囲気は、映画「ターミネーター」のサラ・コナー役の​​リンダ・ハミルトンの若い頃​​の

       ような
じで、リンダほどエラが張ってなくて、鼻から眉間にちょっと皺が寄る笑顔がとてもチ

       ャーミング
だった。

       「仕事へ行く時に結さんの家の前の道を通るんだけど、いつも結さんどうしてるかなぁと思いな

       がら通っていたの」

       そうだったの…Nさん…。




                       ★ 
El Debarge - When I See You ★

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最終更新日  2023.04.05 06:16:41
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