自然の息吹、優しく見つめて…16歳で事故死の少女詩集展
ももいろと 若草色の春がきて うららかな日々が 楽しくすぎてゆく――。16年という短い生涯の中で自然の営みを優しく見つめた少女の詩と、詩になった草花の写真の展示会「第19回 堀明子詩集展『四季の色』」が20日から、兵庫県三田市弥生が丘の県立人と自然の博物館で開かれる。 明子さんの父、堀祐吉さん(65)は「詩は娘が残してくれた宝物。自然を愛した娘の心を多くの人に感じてほしい」と、多くの来場を呼び掛けている。4月26日まで、無料。 明子さんは1972年、神奈川県藤沢市に生まれた。幼い頃から草花や雲、季節の移ろいなど、〈自然〉が好きな少女だった。 小学3年生の時、宿題で書いた詩が担任の先生の目に留まり、ほめられたのをきっかけに詩作を始めた。夜遅くまで庭を懐中電灯で照らしながら、詩に思いを巡らせることもあった。 ああ、生きるよろこび 生きているから よろこびがある おいしいものも たべるよろこびも 美しい絵に感動し 見いるときの幸福も 生きているから 味わえる 生きるよろこびにくらべれば 少しばかりの不幸など なんでもない その明子さんは88年夏、両親のふるさと・高知の四万十川で、不慮の事故に遭い亡くなった。高校1年生だった。 明子さんが3、4年生の2年間に、ノート14冊に書き留めた詩約210編を、両親が事故の翌年の89年、詩集「四季の色」にまとめて出版。全国各地で、詩集展の開催を始めた。 紫陽花―― だれがこんなに 美しい字を あのあじさいに あてはめたのだろう 青むらさきや もも色に 美しく変化する花 色とりどりに さきほこっている とても美しい花 「心が温かくなった」など、これまで来場者から寄せられた感想はファイル20冊分に。19回目の今回は、詩集から75点を選んで季節の順に並べる。 詩の題材とされた草花を、弟の真人さん(34)と祐吉さんが撮った写真も併せて紹介。「娘のいのちの息吹を感じてほしい」との思いから、明子さんがノートに書き留めた「生きるよろこび」と、自作した漢詩「夕暮梅花」のコピーも展示する。 会場は、3階ギャラリーと4階ひとはくサロン。午前10時~午後5時、月曜休館。問い合わせは同館(電079・559・2002)。(2009年3月10日15時49分 読売新聞)京都嵯峨野の四季折々の花を描いた芸術品『煮物椀 内嵯峨野』【送料無料】