のぽねこミステリ館

2009/04/11(土)07:49

横溝正史『怪獣男爵』

本の感想(や・ら・わ行の作家)(148)

横溝正史『怪獣男爵』 ~角川文庫、1981年6版(1978年初版)~  横溝さんによる、ジュヴナイル作品です。このテンションはすごいです。  それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ーーー  有名な物理学者にして、探偵を趣味とする小山田博士のもとで勉強している宇佐美恭助と、博士の子の史郎、みなしごの太一(太ア坊)の3人は、瀬戸内海でボートをこいでいるとき、男爵島に近づいていった。  男爵島―。それは、有能な生理学者でありながら、大悪党として知られる古柳男爵が、2人の忠実な弟子を連れて城を建てた島である。恭助は、史郎と太ア坊の二人に、古柳男爵にまつわる事件について話をした。兄を殺し、兄の子を誘拐したこと。その件で、3年前に死刑になったこと。男爵が、宝石泥棒としても有名だったこと。そして、男爵島に住む怪獣のこと…。  話に夢中になっていた三人は、嵐に巻き込まれてしまい、ようよう男爵島にたどり着いた。その城で雨宿りを請うたとき、しかしそこでは事件が起きていた。男爵の忠実な弟子だった研究者が、怪物に殺害されたのだった。しかし、彼は、死ぬ直前に、恭助たちに日記を手渡した。そこには、死刑になった古柳男爵が、怪獣として生まれ変わった、おそろしい経緯が記されていた…。  社会への復讐を誓っていた古柳男爵は、恐ろしい怪獣男爵として、日本中を震撼させることになる。 ーーー  なんとこの作品、『本陣殺人事件』や『獄門島』を執筆していた、戦後すぐの時期に書かれたそうです。ジュヴナイルということで、文体や内容はそれらとは全く違っています。壮大なトリックなどは期待せず、少年たちの冒険を楽しみながら読むのが良いですね。 *表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。 (2009/04/04読了)

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