カテゴリ:本の感想(た行の作家)
筒井康隆『驚愕の曠野』
~河出文庫、1991年~ こんな作品もあるんだ、と古書店で手に取りましたが、読んで正解でした。やっぱり筒井さんの作品は面白いです。 本作についてはいつものような内容紹介と感想は書きにくいので、思うがままにつらつらと書いてみたいと思います。 おねえさんが子供たちに本を読み聞かせているシーンで、本書は始まります。すでにおねえさんは多くの物語を読んできていて、本書の最初におかれるのは第332巻です。影二という人物が中心で、4人のグループで曠野を旅し、グループの一人がおそらくなにものかの手にかかり殺されるシーンが描かれます。以後、333巻、334巻とおねえさんが物語を読んでいきますが、やがて読み手がかわります。ついには、そのおねえさんたちも、大きな物語の中に取り込まれることになり…。 あまり書くと興ざめになりますので、感想も書きにくいのですが、方向としては『虚人たち』や『残像に口紅を』のような、実験色の強い作品かな、と思います(実験というと語弊がありますが、革新的な文学への挑戦というニュアンスで書きました)。あるいは、架空の世界でありながら、その物語世界のもつ壮大さに、「幻想の未来」のもつ雰囲気も感じました。 1ページあたりの文字数も少なく、ページ数自体も200ページほどの短い物語ですが、その世界のもつスケールは圧倒的です。その点については、川村湊さんによる解説がとても参考になります。 興味深い物語でした。 (2009/05/02読了)
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Last updated
2009.05.06 07:05:48
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