2012/08/03(金)20:44
綾辻行人『黒猫館の殺人』
綾辻行人『黒猫館の殺人』
~講談社文庫、1996年~
館シリーズ第6作です。
綾辻さんは、第5作『時計館の殺人』が、館シリーズ第1期のラストと位置づけられていますが、私にとっては、本作がひとつの区切りのように感じています。というのが、私が綾辻作品を読み始めた時には、すでに本書は本屋さんの店頭に並んでいましたし、その後『暗黒館の殺人』が刊行されるまでにかなりの時間が経っていますので、区切りのように思うのですね。
(『暗黒館の殺人』も『びっくり館の殺人』も、これまでの6作とはずいぶん方向が変わっていて、『奇面館の殺人』では、1~6作目くらいの雰囲気に再帰している、という印象です。ただし第1期のなかでも、『人形館の殺人』は特殊ですが…)。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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1990年6月。
稀譚社の編集者、江南のもとに、鮎田冬馬という人物から手紙を届く。
いわく、本人は火事に巻き込まれ、記憶を失っている。しかし、現場で、一冊のノートを大切に持っていた。そしてそのノートには、1年前、中村青司が建てた黒猫館という屋敷で起こった殺人事件のことが記されていた…。
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黒猫館を訪れた、解散したバンドの4人の学生たち。彼らが出かけたときに連れてきた女が、死んでいた。ドラッグパーティのさなかに、4人の男のうちの誰かが彼女を殺したと思われるが…。
ドラッグのことを黙認していた「私」も、警察に事件のことを知らせないため、屋敷の壁に女を塗り込めるという、学生の一人の案に賛成する。
隠し場所を探るなかで、白骨化した別の死体も発見される。
さらに、学生の一人が密室状況のなかで首を吊り…。
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江南から連絡を受けた鹿谷門実は、屋敷を建てた人物などの調査を進め、手記のなかの事件の謎の解明に挑む。
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はじめて読んだとき、とても楽しめたのを覚えています。
しっかりとした伏線、魅力的なトリックと(当時は私にとって新鮮でした)、ミステリの醍醐味がつまっていると思います。
今回も楽しく読むことができました。