のぽねこミステリ館

2024/06/30(日)15:38

青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア2』

本の感想(あ行の作家)(208)

​​ 青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア2』 ~徳間文庫、2022年~  不可能専門の御殿場倒理さん、不可解専門の片無氷雨さんの2人が探偵をつとめ、女子高生の薬子さんがバイトをしている探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」に持ち込まれる様々な事件に、2人が挑む短編集第2弾です。  それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ――― 「穴の開いた密室」日曜大工の好きな男が、離れの作業場で殺された。ドアは内側から施錠されていたが、壁には大きな穴が開けられていた。 「時計にまつわるいくつかの嘘」精巧な時を刻む腕時計をはめた女性が死体で発見された。時計の示す時間、彼女とトラブルの多かった彼氏にはアリバイがあったが…。 「穿地警部補、事件です」警察上層部の友人だったジャーナリストがマンションから落下して死亡した。上層部からは自殺で処理するよう無言の圧力をかけられる穿地だが、現場に違和感を抱き、捜査を進めていく。 「消える少女追う少女」トンネルで忽然と消えた少女を探してほしい。依頼を受けた2人がたどりつく真相は。 「最も間抜けな溺死体」水のないプールに落ちて、その後ためられた水で溺れたと思しき奇妙な死体が見つかる。事件の裏にはあの男がいると思われたが…。 「ドアの鍵を開けるとき」倒理の首にまつわる5年前の事件に、ついに決着をつけるときがくる。当時、犬をボウガンで襲う事件が連発していた。その犯人を明らかにしたゼミの4人だが、その後、密室殺人未遂事件が発生する。その真相とは。 ―――  ​第1巻​同様、探偵2人の軽快なやりとりが楽しく、読みやすい1冊です。  好みだったのは「穿地警部補、事件です」と「消える少女追う少女」。前者は圧力に屈しない穿地さんのカッコよさと推理の冴えが味わえます。また後者は謎も魅力的ですし、解決も好みでした。  そしてシリーズ全体を通じた「謎」である5年前の事件の真相が明かされる最終話も印象的でした。  東川篤哉さんの「私が解説を書きたくない、いくつかの理由」も面白いです。(2024.02.16読了)​・あ行の作家一覧へ

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