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カテゴリ:書評
赤祖父俊一著 誠文堂新光社 2008.7
サブタイトルは「誤った地球温暖化論に惑わされないために」 進行している気温上昇の大部分が人類活動による温室効果ガス(その多くは炭酸ガス)による可能性が極めて高いとされ、国際会議が相次いで開催され、炭酸ガス排出量の規制についての議論が行われている。 しかし、この議論の前提にある「人類活動による炭酸ガスが地球温暖化の主要な原因」という説は誤っている。 現在進行中の温暖化の大部分(約6分の5)は地球の自然変動であり、人類活動により放出された炭酸ガスの温室効果によるのはわずか6分の1程度である可能性が高い。 ・地球は「小氷河期」(1400~1800年)からの回復期にある。寒い期間からの回復は当然温暖化であり、人類活動とは無関係に進行する現象、すなわち自然変動である。 ・人類活動による炭酸ガスが急速に増加しはじめたのは1946年頃であるが、 地球平均気温の変化と炭酸ガス排出量の時間的変化は明らかに異なる。 温暖化は1800年ごろから始まっている。 1988年に設立されたIPCC(国際気候変動パネル)が誤った「地球温暖化」を主張し、一方的な報道がそれを正当化した。IPCCは学会でもなく権威のあるものでもない。 では、「温暖化」はどうしてこんな騒ぎになってしまったのか? 最初、英国で原子力発電を促進するため「温暖化」を持ち出したようだ。 そして英国の科学者たちが音頭をとって、この問題を国連に持ち出した。それは、欧州諸国がアメリカの経済的優位をコントロールするために利用された。現在では裕福な国と貧困国の争いの道具となっている。 生産を中国やインドに任せながら炭酸ガスの放出量を削減しろと要求するのはまったく勝手な話である。自国の放出量を減らして他国にその分を放出させることでしかない。 残念なことに、地球温暖化問題を政官民一体となって騒ぎ立てているのは日本だけではないかと思われる。国民は目を覚ますべきだ。「米国前副大統領アル・ゴアを救世主として温暖化狂想曲で踊っており、報道はその調子を鼓舞して太鼓を叩いている」 「温暖化」ではなく、環境破壊、エネルギーと食糧の確保が差し迫った重要な問題である。 環境破壊を炭酸ガスの問題と混同すると、人類全体責任となるため、汚染、乱獲、不法猟などの「犯人」が陰に隠れてしまう。 特にグローバル資本主義(儲け第一主義)が修正されるべきときだ。先進国のために後進国の環境破壊がひどいのは問題である。 著者は「気象学者ではない」。しかし「アラスカ大学地球物理研究所の所長として、地球温暖化問題はもちろん北極圏の地球科学全般にわたり国際的に研究者を指導し、若手研究者を育成してきた」世界的権威である。 サイエンス・フィクション(科学的架空物語)に踊らされ、「炭酸ガス排出量の削減についての割当量」を決定した「京都議定書」は、決定的な誤りである。 (著者はそこまでは言及していないが)炭酸ガス削減の強制は、先進国による発展途上国への新たな搾取の口実とされるおそれが大きい。それは、さらなる格差と貧困の拡大を導くであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.08.08 20:04:04
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