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存生記

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2007年01月16日
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深夜にNHKスペシャル「トヨタ 世界一への条件」を見た。再放送のようだ。アメリカの魂とも言うべき車市場に食い込むために現地の人を採用して工場を建てる。地元の弁護士やら社長やらも下請けの仕事を任せて地元ぐるみでプロジェクトに参画させる。レゴブロックを使って製造業に携わったことのない人たちを一から研修する。そうとうな気の使いようである。すべては日本車をハンマーでたたき壊すパフォーマンスのような反発を避けるためだ。

タイの研修センターでは、研修だけでなく指導教官になるための試験が行われる。タイ人の青年が日本人の審査員のもと試験に挑んで合格する。彼の部屋にはトヨタの帽子がたくさんあった。ひとつ階級をあがるたびに帽子をくれるのだそうだ。彼の人生の歩みと誇りが勲章のごとくひとつひとつの帽子につまっている。合格後、塗装のスペシャリストとしてベトナムからやってきた研修生に指導を行っていた。

ところが、定年間近の日本の熟練工が彼の指導法に物足りなさを感じる。教え方に心がこもっていないというのだ。熟練工は皆を飲みに連れ出した。皆でカラオケに興じて「昴」かなんかを歌ってる様子が映されていた。マニュアル以外のことを教えるには必要な宴だと熟練工は言う。その後、彼の言うとおり、タイ人の指導法は改善された。そして日本人の熟練工は定年退職を迎え、工場を去っていった。

いかにもというキャラと展開だが、それはともかくタイ人がベトナム人に「トヨタの精神」を伝授する。足りないところを日本人の熟練工が仕上げの「魂」を吹き込んで補う。もはやトヨタは日本の会社ではなく多国籍企業であることを象徴するシーンだった。

増え続けるリコールについて取り上げていたものの、全体としてはトヨタの宣伝番組のようだった。NHKがトヨタから理事を招聘しようとしてトヨタ側に打診していたというニュースをネットで読んだけれども、両社は蜜月関係にあるようだ。そのせいか、日本で問題になった偽装請負のワーキングプアの問題や、現在裁判になっている排気ガス汚染の問題などは取り上げられなかった。

ともかくトヨタが不良製品を出さないために社を挙げて取り組んでいる様子は伝わってきた。世界各地に豪華な研修所を建てて人材育成に励んでいる。とはいえ、現地採用で速効研修で大量に生産していけばリコールが増えていくのは当然だろう。

逆に、不二家は業績不振が続き、おそらくはリストラで士気が落ちたところで過当競争のプレッシャーからモラルの頽廃が起きた。トヨタの増え続けるリコール問題は、三菱自動車の不祥事の影に隠れて目立ってはいない。マスコミ対策も充分してあるのだろう。不二家のほうはそんな財力も権力もないから袋だたきにあっている。パートのせいにしてみたり、ダメな危機管理の見本を演じてしまったのでバッシングに拍車がかかった。うちの近所の不二家のお店もシャッターをおろしている。

トヨタはGMを抜いて世界一になるだろう。不二家は倒産するかもしれない。熟練と士気の不足を補うだけのノウハウをこの会社は持たなかった。他社との競争や数値目標を煽るだけで具体的なクオリティコントロールのシステムを確立していなかったし、そんな志もなかったようだ。さらにはインターネット時代で内部告発を防げるような時代ではないことを見抜けなかった。いかにも旧世代の人たちによって運営されていた会社であった。老舗のイメージに寄りかかった経営をしていた。

不二家は倒産するか、社名を変えてタイに工場をつくって現地の安い労働力で巻き返しをはかるしかないのかもしれない。ペコちゃんの帽子を勲章がわりに作ってハッパをかけるのだ。未曾有の好景気にわく日本経済だそうだが、業界によってはまったくお寒い状況なのである。





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最終更新日  2007年01月17日 00時32分46秒



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