マンハッタンで考えてみた

　今週は水曜と金曜が朝番になったため、急遽今日(火曜)を休みにしました。さ～て何しようかナァ・・本を読もうかなぁ(読む本が控えているって素敵!)・・、部屋の模様替えしようかなぁ(IKEAに返し損ねたタンスを台所の物置に移動したい)・・、それとも映画観ようかなぁ・・。アカデミー賞を今度の日曜日に控えているので、なんとしても観ておきたい映画がありました。

　ニューヨークで映画を観るときには時間と場所のチェックは必要です。同じ系列の映画館でも値段が違うんです！今まではリンカンセンターの傍に行っていたのですが、最近は34Stのマディソンスクエアガーデン近くのLoewsという映画館に行きます。ちなみに今日は、リンカンセンターで$10.75、34Stでは$9.50でした。お天気も良くてエンパイアステートビルディングも眩しかったです。

　今年のアカデミー賞最有力候補と誉れ高いBrokeback Mountain(ブロークバック・マウンテン)。台湾生まれのアン・リー(李安)監督はNYUで映画を学んだようです。私は『グリーン・デスティニー』が印象的でした。大好きなチョウ・ユンファとミシェル・ヨーが競演していました。初々しいチャン・ツィイーも。竹やぶを効果的に映していて、幻想的なシーンがとてもきれいでした。東洋人の芯の強さ・・みたいなモノを感じました。

　その監督作品となれば風景がとってもきれいでした。1963年のワイオミング州ブロークバックマウンテンの大自然と青い空・・。何百頭という羊の放牧をする季節労働者のイニスとジャック。その２人のカウボーイの友情を越えた愛情の話です。


　晩御飯を食べながら(映画を観ないであろう)旦那さんに映画のあらすじを話しました。「無口なテキサス訛りのブッシュみたいに話す青年がね・・」(イニス)、「陽気な『プリティ・プリンセス』のお姫様役の子と結婚した青年がね・・」(ジャック)と支離滅裂な長～いあらすじを聞いた後に一言。

「で、ここまで賞賛される勝因は何だと思われますか・・センセイ?」
　 良いところ突くなぁ・・と思いながら考えました。風景が何しろキレイ。人目を忍ぶ２人の関係を包み込む山、20歳の頃からの２人を見続けている雄大な自然。セリフが無くともその自然が代弁しているシーンがいくつかありました。

　そして何といっても演技が巧い。主演にノミネートされている"Heath Ledger" (ヒース・レジャー;写真手前)も助演にノミネートされているJake Gyllenhaal (ジェイク・ギレンホール)もお上手。ヒースに関しては、知らない俳優さんだったので、40歳近い俳優さんが若作りしていると思っていました。いやいや天晴れ。

　演技の巧い２人が演じる男性の恋愛は美しかった～。40歳になった２人が湖畔での逢瀬の別れのとき、ジャック が熱い思いを告白するシーンがあります。それを受けてイニスがオヨヨ・・と泣き崩れるシーン。無口なだけにヒース演じるイニスが泣き崩れる２回のシーンは、見ていてこみ上げてくるモノがありました。観終わってからも、しばらくシーンを回想してはいろいろと考えてしまいました。

　ゲイを扱った映画なので、中国では上演禁止のようですし、日本でも劇場側が選んでいるとか・・。この映画がきっかけで、ヒース・レジャーと奥さん役をした(助演女優賞にノミネート)ミシェル・ウィリアムズは結婚して昨年秋に女の子が生まれたそうです。