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ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

11.

11.

崇が足を踏み鳴らして出て行くさまを、部屋にいる者すべてが息を呑んで見つめていました。
乱れた着衣からは、先の行為を思わせる汗の匂い。

ああ、とサトルが思わず小さく呟きます。
何が起きたか、わからないはずがない。
荒々しくドアを閉めて姿を消した崇を苦々しい思いで見送ると、窓を開けるものやテレビの音量を大きくするもの。
それぞれが落ち着きを失くしました。

「梨生さん、」
暁がまだ姿を見せない梨生を探して歩き出したとき、サトルが体をはって止めました。
「あかん、坊」
「だって、梨生さんが」
「…今、側にいってどうするんや?」

動揺する舎弟たちに連絡が舞い込みました。
組長が出かけるので護衛に梨生を呼び出したのです。
「梨生さんしかおらんし。どない…」


「俺ならすぐに出られるから」
スーツを着た梨生が姿を見せました。
「あ、あの!梨生さん?」
「暁を連れて行く。後は頼むぞ」
汗の残る肌が気にかかります。


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