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2006年04月17日
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カテゴリ:連載小説

 

 釣った魚にエサはやらぬどころか、生かさず殺さずが、

 由井のやり方だったのです。

 当時ミニスカート全盛時代だったのですが、私のスカート丈が

 短すぎると言って責めたて、またあるときは口紅が濃いと

 言っては怒るのは、若い女の身にとってみれば、苦痛以外の

 なにものでもありませんでした。

 「お前を人目にさらしておくと、ろくな事はないからな」

 それが由井の口癖でした。

 そのために由井が考えだした対策は、彼の無二の親友である

 柏木圭太郎に私を監視させることでした。

 柏木は、その年の司法試験に合格したばかりだったのです。

 司法試験受験のために留年はしたものの、在学中に五百人中で

 一桁台の優秀な成績で合格したという学内きっての秀才でした。

 由井とは水戸の中学、高校とずっと一緒にきた仲でした。

 その柏木に私の守り役をさせる腹づもりだったのです。

 口実は、私が柏木から刑法を教わるということでした。

 柏木はまた、刑法の神様ともあがめられていたのです。

 「あいつは石頭っていわれるくらい硬い男だからまちがいは

 ないからな」

 油井は満足げにそう言いました。

 柏木にだけは心を許していたのです。

 

 

 

 






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Last updated  2006年04月17日 06時03分49秒
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