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2006年06月05日
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カテゴリ:連載小説

 

 

 夫が他界してから丸2年間というもの私はほとんど

 鬱病者のようにすごしてきた。

 この深い海底に沈んでいるような逼塞感から、なんとか逃れる

 手立てはないものかと思いをめぐらせてみた。

 そして思いついたのが、過去になんらかのかたちで

 関わった、夫を除く男たちをひとりづつ尋ねてみると

 いうプランであった。

 幸いにして夫は内科病院を残してくれていた。

 大学病院から医師をよこしてもらって病院長にすえて

 おけば、私は理事長としての肩書きがあるから

 暮らしに支障はきたさない。

 だから、この際思い切って実行してみることにした。

 このチャンスを逃したら私はもう二度と立ち上がれない

 だろう。

 私はもう43歳なのだから、いいえ、まだ43歳なのだから。

 私は思いつくままに手帳にひとりづつ名前を書き出してみた。

 まず第一に浮かんだのは佐多英介の名だった。

 

 






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Last updated  2006年06月05日 06時08分25秒
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