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2006年06月13日
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カテゴリ:連載小説

 

 

 それからは月に一度ほどの割りで谷と逢うように

 なりました。

 あいかわらず夫には大阪の娘のようすを見に行くとか

 京都で句会があるとか口実をもうけて出かけましたが、

 夫は疑うほどの関心さえも示さないのには、助かりました。

 京都での逢瀬は、きまって祇園のホテルをつかいました。

 いわゆるありきたりのラブホテルです。

 ところが、思わぬことが起こったのです。

 あれは谷と密会するようになって半年目の3月のこと

 でした。

 いつものようにホテルを出て、清水寺まで足をのばした

 ときのことです。

  茶碗坂を谷と歩いていると、背後から肩をぽんと叩かれ

 たのでした。

 反射的に振り返ってみますと、なんと夫の患者で、しかも

 同じ町内のある奥さんが、笑って立っているではありませんか。

 あまりのことに心臓が止まるかと思ったくらいでした。

 

 






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Last updated  2006年06月14日 05時27分50秒
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