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カテゴリ:連載小説
夫は思いのほか冷静でした。 愛情のかけらもない妻にいまさら嫉妬するほどのことも ないのでしょう。 それは私とて同じでした。 ただ夫は男としての面子とプライドだけは持ち合わせています。 世間体からしばらく別居しようと言い出しました。 私は隣町の実家に帰ることにしました。 実家には母が弟夫婦と同居しておりますが、 その弟が亡父から受け継いだ材木店が経営不振に おちいっていたのです。 「こんなときによりにもよって、なんてことや」 と母は私の顔を見たとたん愚痴りました。 私は弟夫婦の手前もあって身の置き所がありません でした。
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Last updated
2006年06月18日 05時02分26秒
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