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カテゴリ:連載小説
浩太郎がいくら 呉服屋の若旦那だからったって 芸者を落籍せるほどの大金を自由に出来るはずが ないよねえ。 で、仕方がないんで、二人して逃げようって話になってね。 手に手をとりあって駆け落ちしたってわけさ。 行き先は若狭の小浜だ。 浩太郎の学校の友達がそこの若狭塗りの箸屋の若旦那でね。 その人をたよって行ったのさ。 浩太郎はその人の世話で小浜の本屋に勤めた。 ところが、なにしろ甘ったれた坊ちゃん育ちなもんで、 人並みに勤まるはずがなかった。 職を転々としたあげくが、自暴自棄になっちまって、 酒とばくちにのめりこんだのさ。 やむなく私が仲居として働いたけど、とても 追いつきゃしなかった。 (続く)
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Last updated
2006年10月05日 05時26分18秒
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