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おぼろ二次元日記

Mishelleさんより兄様・緋真小説♪




【 夜明け前、桜の木の下 】




夜明け前。
ふと目覚めて

身を起こし
暗い寝室を見渡す。

いるはずのない
緋真の姿を探して…

あの夜のように

庭にある
枝垂桜の下。

ルキアを想い
祈っている緋真が

私に、そんな姿を見せまいと
深夜に、独り、起き出した緋真が

今も、その場所に
独り、佇んでいるような

落ち着かぬ想いに
私は、寝室を後にする。

・・・・・

夜毎、何を祈っているのか?

そう問い掛けた私に
頭を下げ、緋真は答えた。

 白哉さま。お許しください。
 それだけは、申し上げられません。

おそらくは、妹のこと。
 私への、気遣い。

 遠慮…

 そんな緋真の姿が
 もどかしく、愛おしく


何も言わずに抱き寄せた緋真の

夜露に湿る衣の冷たさも
震える華奢な身体も

夜気に濃く漂う
桜の香りも

全て

消えることなく
今も、私の心に在る。

そうして

幾度も、鮮やかに蘇り
得られぬ答えを求め続ける。


緋真の願いは、叶えられたのだろうか…

・・・・・

刹那。

枝垂桜の下に佇み
手を合わせ、祈っている

緋真の姿が、見えた気がした。

此処にいる
私に気付いた緋真が

笑顔を見せてくれた気がした…

・・・・・

声に出して
名を呼ぶよりも

早く

消える幻に
伸ばした「手」は

今も

変わることなく
緋真を求め、彷徨う

私の「心」なのかも知れぬ…

・・・・・

霜月の、朧月夜が
見せる幻は、雪花の如し。

儚さ故に、美しいと知りながら

願わずにはおれぬ。
望まずにはおれぬ。

いま一度…

見せてはくれぬだろうか。
逢わせてはくれぬだろうか。

夢で、良い。
幻でも、構わぬ。

いま一度、緋真に…

・・・・・

やがて

黎明の光が射し
空は、藤色に染まる。

秋の夜長
心慰められた
あの、鈴の音に似た
虫の声も、今は聞こえぬ。

その静寂に
吐く息の白さに

凍える指先が感じている。


また、冬がくるのだな。緋真…





ミシェルさん挿絵




冬の冷たい寒さ、白い息、桜の下・・・
一心に祈る緋真を見つめ想いながらもとまどう気持ち。
失ってから思い出すぬくもりと思い出。

冬の星空と白い息、桜の木が良く似合う兄様と
緋真の素敵なお話・・・。

Mishelleさん、本当にありがとうございました!






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