2018/06/29(金)08:47
歌劇『オルフェウスとオイリディーケ』パリ版(1)
『精霊の踊り』はグルック作曲の歌劇『オルフェウスとオイリディーケ』の第2幕第2場で、精霊たちが極楽浄土で踊りながら歌う様子を描いています。この様子を是非見てみたいと思い、パリ版のDVDを入手してみました。
主役は何といっても、オルフェウスを演じるジョン・ディッキーの魅力あふれる素晴らしいテナーです。
ギリシャ神話では冥界の王との約束で、オイリディーケを追って冥界にやってきたオルフェウスは、亡き妻オイリディーケを振り返ってはならないのですが、もう少しで現世に近付いたところで、どうしても心配になって、振り返ってしまい、オイリディーケを連れ戻すことが出来ずに、現世に帰ってきます。
他方歌劇では、冥界の王との約束ではなく、愛の女神との約束になっています。また、どうしてオルフェウスが、愛の女神との約束を破って、オイリディーケを振り向いてしまったのかは、歌劇の中では、このようになっています。
オイリディーケが、自分を振り返ってくれないオルフェウスに不信感を抱いたため、オルフェウスがオイリディーケへの愛を示したいと思って、思いあまって振り向いてしまうのです。
その結果、オイリディーケは冥界に帰ってしまいますが、歌劇ではギリシャ神話とは異なり、愛の女神がオルフェウスの真実の深い愛を認め、晴れてオイリディーケと再び結ばれる、happy endになっています。