グルック作曲、『精霊の踊り』の曲の背景を、より深く知りたいと思い、グルックの歌劇『オルフェウスとオイリディーケ』パリ版を入手して、よく観てみました。
そこで分かったのですが、この歌劇がパリで講演された、いわゆるパリ版の第2幕第2場で、精霊達が極楽浄土で楽しみながら踊るのが、『精霊の踊り』です。
ところがこの『精霊の踊り』が、あまりにも美しいメロディなので、歌劇とは独立して、3つのパートから成るフルートやヴァイオリンの独奏楽器の曲として、広く演奏されるようになりました。
この3つのパートのうち1番目と3番目は同じヘ長調の優しい旋律で、2番目のパートはニ短調のとても哀しい旋律になっています。この2番目のパートの曲の背景を、より深く知りたいと思って、DVDを購入してみたのですが、残念ながら歌劇では、2番目のパートは出てきません。
そういえばクライスラーが “メロディ” として、このパートをヴァイオリン曲に独立させたという解説もあります。この “メロディ” の哀しさこそ、新妻を亡くしたオルフェウスの気持ちを表しているのだろう、と勝手に解釈していましたが、真相はまだ分からないでいます。
クライスラーがどのような意図で、このメロディを独立させて編曲したのかが、知りたいのです。曲のイメージの持つ哀しさ、悲壮感は、亡き妻を恋い慕うオルフェウスの気持ちそのもののように、思えてなりません。