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天鵞絨(ビロード)の仮面。何が良いだろうなぁ。
【天鵞絨(ビロード)の仮面/松岡なつき/櫻井しゅしゅしゅ/2005.8.1/パレット文庫】 好き度的には★4.5(満点★5)。歴史物は好きですね♪ 【あらすじ】 フランス、ルイ13世陛下直轄の、固い約束で結ばれた銃士隊に所属するアルノーとジャン。 人気者だが、銃士隊一の問題児にして色男のジャンは、サファイア色の瞳が美しいアルノーが大変なお気に入り。アルノーが嫌がるのを無視して、親友と決め込んでいた。 ある朝、ジャンの介添えとして決闘に出かけたアルノーは、王に反発するリシュリュー枢機卿に捕まり、「イングランド子爵のアーサーを誘惑しろ」と命令されてしまう。 だが、アルノーには枢機卿に逆らえない理由があり・・・? 枢機卿の元から戻らないアルノーを心配するジャンとアーサーの間でアルノーは・・・? 恋と誘惑に揺れるワイルドな銃士たちを華やかに描いた、松岡ワールド!! 【ネタバレ感想】 1600年代前半のフランス宮廷辺りが舞台。 イングランドとの駆け引き、そして恋と政治の謀略が飛び交う世界が舞台のお話です。 この所、松岡さんはこの時代のヨーロッパにとても興味が有る様ですね。 「F&B」ではこの時代をイングランド視点で描き、次なる舞台はスペインへ。 「華やかな迷宮」ではフランス宮廷側から描き、このお話も舞台はフランス側から。 とは言え、このお話は背景にイングランドとの駆け引きが有るものの、 メインは宮廷の騎士の恋の駆け引き、しかしそれは政治的、そして権力争いに絡んだもの。 国益を絡めた恋と利害と嫉妬と、身分の有る人たちの恋の鞘当に巻き込まれたその周りの人間達の不運、とばっちりを受けた人々の諦めと、もしかしたら忍従の話かもしれないわ(苦笑) ともあれ、不倫沙汰の醜聞に巻き込まれ、手を貸したことでスケープゴート的にバスチーユ送りになってしまった兄を救う為に、唯々諾々とリシュリュー枢機卿の言いなりになるアルノー。 間諜として銃士隊に所属するのみならず、今度はイングランド子爵のアーサーを誘惑する事になる。 最初は難色を示すものの、そこは時代と場所が揃っている為に、性へのモラルがともかく低い! 政略結婚は当たり前、子どもさえ儲けてしまえば配偶者公認の浮気し放題、却ってステイタス! という時代な為に、恋愛は既にゲーム感覚、おまけに本気の恋も知らないアルノー故に、 甘美な身体への誘惑には滅法弱い。 それでも、何が有っても自分から纏わり付いて離れない銃士隊のジャンへの微妙な気持ちに気付いたなら、身体だけでなく、心が囚われる事の意味、そして身体への意味を実感する事となる。 しかし、銃士隊への間諜として裏切っている事実と、 イングランドへの策謀のためアーサーに抱かれている自分の立場と、 その現実の前にジャンの思いを受け入れることも出来ず、自分の思いを告げることも出来ず、 唯々自虐の渕に陥ってしまうアルノー。 結果的には謀の浅さにアーサーに正体がバレながらも恋心故に見逃してもらい、 それなのに肝心の兄の消息は――。 陰ながらアルノーを見守っていたジャンの機転のお陰で窮地を脱し、全てを告白した後、 ジャンの存在と活躍に救われる事となる。 後日談的に、アルノーを諦めきれないアーサーがフランスに舞い戻って来て……。 ♪喧嘩を止めて~♪となる訳ですね(苦笑)。喧嘩!!勿論決闘♪♪♪ 舞台はフランスの王侯貴族たちの世界。魑魅魍魎跋扈する~♪何て言いたい状況ですが、 何と言うか、恋多き時代のラブアフェア……。 恋をするのもステイタス!でもって、技量が物を言うんでしょ? 似た様なもので、何れ狸と狐の化かし合い♪(苦笑) その駆け引きが恋愛沙汰に根ざしているのがなんともはや。(苦笑) ラストのアーサーの登場の仕方が続きも有るかも知れないという気にさせてくれます。 ちょっとね、その恋愛感覚が、モラルについてが……。 いえ、時代感覚で割り切れられれば、なら問題も無いのでは無いかと(苦笑) イングランドとフランスと、宮廷文化の華やかなのはフランス!と思い込んでいたのですが、 今回の話を読む限り、時の王の趣味思考考え方の反映で微妙に違うらしいことが解りました。 イングランドも十分華やかだとは思うのですけどね、フランスは名にしおブルボン王朝ですから~! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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