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2008.02.01
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カテゴリ:その他色々な感想
単に昨日の書き忘れ…とも言う(苦笑)

そもそも柴田よしきも興味を持ったのは――と言うか、興味を持ったのは、

柴田よしき『聖なる黒夜 上・下』

ブログ友達のパピエマさんがこの本読んでいるよ~、面白いよ~と日記に書いていていて、
面白そうだなぁと思ったのが始まり。

調べてみたら既刊本で、2002年 10月出た単行本と2006年10月に出た文庫版があるのが解った。
文庫方には限定のSSが入っているとの事だったので、そちらを読んでみようと。
唯、上・下で結構なお値段の本だったので、
新品購入はイマイチ躊躇……中古を漁ってこようとかと思いながら、
NETで、最寄の図書館を調べてみたら蔵書に在って、
幸いなことにその図書館は自転車で出掛けるときの通り道…にある。
と言う訳で、取り敢えず借りてきて読んでみた。

――ツボ。見事に嵌ってしまった(苦笑)
何が。この人間関係と、屈折した心理状態だろうな~。
描き方に凄く容赦がないように思えたのね。
主人公のハードボイルドな男たちも、関わる女達の壮絶さも、本当に容赦が無い。
特に女達を見る目がエグイなと思った。

……実はここに私の誤解が有ったのね。
いや、そこらへんは別に誤解していても、読む分には全く関係ないことだと思うし、
寧ろ偏見になることだと思うけど、名前から、『柴田よしき』は男だと思い込んでいたんです。
だから、女をこんな風に描く男は珍しい……と感心したんです(苦笑)

だから、全くの偏見ね。
男性の描く女性だって、色んな捉え方、描き方が有る訳で、
それを男だから女だからと視点を変えてしまうのは、それこそ差別、先入観だと思う。
描き方、捉え方は人それぞれの個性の産物だとは思っている。

だけど、次の本を読もう!と本を漁り何気に作者近影を見た時に、
……え~~~!?女の人だったの~~~~「……。」
女を描く辛らつさを、その目を、だからなのか、とストンと納得したのでした。

偏見と言われてしまえばそれまでなんですが、
男の人は、女の人に理想を見てしまい、夢をを抱いた部分があるのです。
だけど女は女に冷酷で、理想は有っても夢はみない。
とことん突き放して客観的に堕としていける。

夢物語は好きだけど、女を理想の中に閉じ込めたままにしない、息遣いを感じる描き方が、
この小説を気に入ってしまった大きな理由の一つなんですね。


ちょっと脱線。
以前・・・20年近く前になるかな。
ダンナに面白いから読んでごらんと言われ、北村薫の「円紫さんシリーズ」を渡された。
何冊か読んだ後、北村薫は男か女かと問われ、
「こんな細やかな女の気持ちを描けるのは、女」と即答した。
答えは『ブー』(笑)

北村薫は当初二足の草鞋を履いた兼業作家さんで、
本職の方の関係で永らく覆面作家さんだったのが、晴れて執筆業が本業になった為、
覆面を脱いだなら~、、、あらま、男の方でした。
ダンナも見事、騙された(?/笑)クチでした。
女性だと思っていた人がほとんどだったらしいですね。

だけど、男だと思って読み解けば、なるほどな、女に優しい夢を見る文章だなと。
だけど、その優しさが切なくて心に染みてくる。



話を戻し。
なんと言うのかな、柴田よしきの描く世界には、同世代の匂いとか、時代の匂いを感じる。
……何と単純な人間か、単に同じような年だからなんですが(苦笑)
私はどうも同世代の女性作家に対して、他よりも強い憧れめいた物を持ってしまう傾向がある。
同じ年でこれだけ頑張っている。
大変だろうな、だけどそれだけ頑張ってここまで来たのだから、
もっともっと一線で頑張っていて欲しいと。

同世代の描く世界には、共感を誘う何かがあるのです。
それこそ思い込みなのかもしれないけれど。


嵌ってしまったからには、とことん行きます(苦笑)
文庫後書きに、シリーズでは無いけれど、こちらの作品にも主役の二人が出ているとあったので、
主役の二人を追い駆けたいが為に、図書館及び書店漁りをやってしまいました。

ここで情けないのが、本を買おうと言う気が無い(苦笑)
だってさ、お財布の中が空なんだもの。
本は高いんだもの。
それに、基本ハードカバー本は邪魔になるから買わない(苦笑)
と言う訳で、図書館での立ち読み、本屋さんでの立ち読みと相成った訳です。
えぇ、1冊3時間弱で、飛ばし捲くりました。
フツーに読んだら絶対読めない厚さです。だから、かなり飛ばしたのよ。

……しかし、図書館で立ち読み。
借りれよ~。立ってないで座って読めよ~。自分に突っ込みを入れながら(苦笑)
でもね、ハードカバーは重いから、借りたくないのね。
座って読むとペースダウンするから、あくまで立ち読み!
座って読むと、読み込んじゃうから。
これは家でも同じ。
家でも、これちょっと読んで見ようと思った時は立ったまま1時間ぐらい平気で読んでいる。
座るとそこで作業中断になってしまうから。

ま、そんな形で、前の日記に書いた本を読み漁った訳です。
『村上緑子シリーズ』を読んで、緑子や他の女性の描き方に容赦の無さを感じ、
だけど、如何言ったら良いんだろう、悪意のある辛辣さではなく、
女としてそこまでは出来るはず!して!と言う、許容範囲を感じるのね。
作者が寄りそう感じがするのね。

続けて読んだ『花咲慎一郎シリーズ』では、女が放っては置けない駄目な男が書いてある。
強いけれど優しい。強がりだけど、弱い。
これも女が描く男なのかも知れない。

話の中で中学生の女の子がお父さんの愛人が男で、と言うところで、
「だからショックを受けたんじゃない、愛している人がいるのに、何でお母さんと結婚したの!」
と言うくだり。
「Juneを読んでいるから、そんなの気にしない」と言う辺り。

元々読んでみようと思ったのは、男と男の恋愛の話だからと言うのが有ったのだけど、
これらの作品をと言うか、柴田よしきをBL作家とは言わない訳は、
作品としての確かさも在るけれど、BL作家では在り得ない目線で書かれているからなのだろう。
柴田よしきの作品には、BLだからのお約束が無い。
そういう意味でのファンタジーは存在しない。

ヘテロもゲイもバイも、性同一障害も、そのボーダーさえも含めて、
みんな別個のものとしてキチンと描かれている。
混同されがちな部分をちゃんと説明をし、人括りに濁さない書き方は、
ファンタジーを好むBLでは在り得ない。
こう言う杓子定規な描き方は、BLを好むお嬢さん達には逆に受けないだろうな、と言う気もする。
ファンタジーではない確かさと言うべきか、ある意味夢の無さが。

だけど、確かな話を好きな私は、このファンタジーでは無い描き方がとても好ましかったのです。




と言う訳で、ここの所見事に嵌ってしまった本と言うか、柴田よしきさんのことでした。












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Last updated  2008.02.01 10:50:35
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