公開質問状(大阪府警察 その2) 大阪府警察警務部監察室に対し、大阪府警察(富田林警察署)における告発状の受理の拒否について、公開質問状を送付しました。
当ページにおいて質問および回答の内容(回答なき場合はその旨)を公開します。
平成28年8月1日
当方から大阪府警察警務部監察室宛に質問状を送付。
============== 質問状文面 ==============
公開質問状
(大阪府富田林警察署の告発状受領拒否について)
平成28年8月30日
大阪府警察警務部監察室 御中 質問者
651-2242
兵庫県神戸市西区井吹台東町6丁目
27番地の224
センチュリー行政書士・社労士事務所
代表 井上善博
電話・FAX 078-965-6275
1 質問の趣旨
大阪府富田林警察署の下記所為は,
犯罪捜査規範63条1項,
裁判例(東京高裁昭和56年5月20日),
平成15年4月1日付通達甲(副監.刑.2.資)第15号,
平成13年4月13日付警察庁丙人発第115号
等に照らし,明らかに不当と思われるので,大阪府警察警務部監察室の見解をご回答願いたく,質問をおこなうものである。
なお,本件における大阪府警察の一連の言動から,当方における大阪府警察への信用が皆無であることから,当該質問は公開質問の形式によるものとし,当該質問のやりとりの内容(回答なき場合はその旨)をインターネットにおいて,
ウェブサイト
http://century-office.asia/koukai_situmonjyou_osakahukei02.html
ブログサイト
http://plaza.rakuten.co.jp/officecentury05/
にて公開するものとする。
※当質問状に対する回答は,本書面到達後1ヶ月以内 におこなわれることを求めることとする。
2 質問の原因および内容
(1)
平成28年8月8日,富田林警察署は,強要罪にかかる告発状を提出しようとした告発人・****に対し,告発の受理を拒み,もって告発人の刑事訴訟法第239条において保証された「告発する権利」の行使を妨害した。
(2)
そこで質問者は,大阪府警察警務部監察室に対し,次の事項について質問する。
①
下記「4 経緯」および「5 当方の見解」の内容をご確認いただいた上で,平成28年8月8日に告発人が提出しようとした告発状を富田林警察署が拒否した事実について,正当と考えるか否か。
②
上記2(2)①の回答について,もし「正当」と考える場合には,その合理的および法的な根拠。
③
本件においては,対応した警察官について,告訴や告発の受理についての知識が乏しい様子が伺われるが,大阪府警においては,警察官に対して告訴・告発の受理についての基礎知識にかかる教育がなされていないと考えられるが,如何。
④
上記2(2)③の回答について,もし「しかるべき教育がなされている」と考える場合には,なぜ下記4(12)のような「それは知らないので調べておく」との回答がなされたのかについての合理的な根拠。
3 受理を拒否された告発の告発事実
被告発人は,平成26年4月から平成27年3月にかけて,大阪府南河内郡河南町東山469に所在する大阪芸術大学内において,自らが受け持つゼミの学生20名に対し,「絵の勉強を続けたいなら正規雇用の就職はおこなわず,時間の融通の利くアルバイト等をおこなうこと」「言うとおりにした学生には30歳になるまで無償で相談にのるが言うとおりにしなかった場合には無償では相談にのらない」との旨を告知して脅迫し,学生の自由に職業を選択する権利の行使を妨害したものである。
4 経緯
(1)
告発人は,平成25年8月に大阪芸術大学の学生・Aと知り合った。
(2)
Aは告発人に対し,「学費を支払えない」旨を告げて,平成26年4月23日および平成26年10月21日に,それぞれ告発人から66万円ずつ,合計132万円を借り受けた。
(3)
しかし,Aは,所属する大阪芸術大学美術学科油彩コースのゼミの教授から,
「絵の勉強を続けたいなら,(時間が取られる正社員としての)就職は止めるべきである」「時間の融通の利くアルバイト等を利用して生活費を稼ぎながら,絵の勉強の時間を取る必要がある」
「その代わり,卒業生は,30歳になるまでは,無償で相談にのる」
(逆に言うと,正社員にとして就職した学生には,その後,「無償では相談にのらない」あるいは「相談に乗らない」)
との指導を受け,他のゼミ生の多くがその指導に従う意向を示したことから,正規雇用としての就職をおこなわないことにした。
(4)
その結果,Aは告発人からの借金や奨学金の返済の目処が立たなくなった。
(5)
平成27年1月30日,Aは告発人に対し,「自己破産の手続きを進めることに決めた」旨を告げた。
(6)
平成27年3月,Aは大阪芸術大学を卒業したが,その半月後の平成27年4月15日,大阪地方裁判所に対し,破産申請を申し立てた。
(7)
平成27年5月15日,大阪地方裁判所からAに対する破産開始決定がなされた。
(8)
その後,告発人は文科省私学行政課に電話にて問い合わせ,被告発人の行為の是非について尋ねたところ,対応した担当官は「問題あり」としながらも,「法的権限がなく検討したが対応できなかった」旨,回答した。
(9)
そこで告発人は,被告発人の行為について強要罪により告発することとし,平成28年7月23日,大阪府富田林警察署に告発状提出の都合を確認するため電話したところ,「翌日以降に電話するよう」指示された。
(10)
平成28年7月25日,告発人が富田林警察署に電話したところ,強行係の具志堅が対応。
告発人が「強要罪で告発したい」旨を伝え,訪問日時の都合を尋ねたところ,
「忙しいので近日中には対応できない。8月8日午前10時に来署するように」と2週間以上も先の来署指示を受けた。
(11)
平成28年7月26日,告発人が大阪府警察本部府民応接センターに電話し,「富田林署に電話して告発状を提出したい旨を告げたところ,2週間先に延ばされた」旨を相談したところ,対応した春野から「富田林署の署長に電話する」との回答を得た。
(12)
その後,富田林署からも大阪府警本部からも連絡はなく,告発人は以前指示されたとおり,平成28年8月8日に富田林署に赴いた。
対応した強行係の具志堅に対し,告発人が告発状を提出しようとしたところ,個室に入れられ,録音機がないか身体検査並びに手荷物検査をされた 。
その上で,「まず話を聞かせてほしい」と言われたため,告発人が「話では整理がつきにくいので,まず告発状を読んでもらい,不明点があれば尋ねて欲しい」旨を告げ,告発状を読むように求めたが,具志堅は「時間がかかるから」と拒否 。
やむを得ず,告発人はAに係る民事裁判の上申書だけを提示し,あとは口頭で説明したところ,具志堅は「強要罪にならない」とのことで受理を拒否 。
理由として,
「指導を受けた学生たちが相談や告訴に来ないのに,第三者だけが告発するのは状況的におかしい」
とのこと 。
そこで告発人が,「それは若者がその道の大先輩で何らかの影響力をもつと思われる教授を訴えたりはなかなかできるものではない」旨を主張したが相手にされず。
また具志堅は,
「仮に受理しても,告発人の希望に沿う結果にはならない」
との旨を告げた。
告発人が「明白に犯罪でない場合以外は,告訴状・告発状の受理を拒否できないはずである」旨を述べたところ,具志堅は,「それは知らないので調べておく」「この案件は警察ではなく行政に持っていくべきだ」 とのこと。
告発人が,「既に文科省に掛け合い,そこで権限ないと言われたため警察に来た」旨を述べたが相手にされず。
また,具志堅は「芸術系では今回の指導は容認される」との見解も示し ,あくまで告発の受理を拒否した。
結局,具志堅は告発状を読むことはなかった。
(13)
告発人は平成28年8月22日に書面により,大阪府公安委員会に苦情申出書を提出。
理由は,以下の理由により富田林警察署の主張が失当であるため。
【理由】
富田林警察署員は,
(ア)
「指導を受けた学生たちが相談や告訴に来ないのに,第三者だけが告発するのは状況的におかしいこと」をもって強要罪には該当しないとし,また,
(イ)
仮に受理しても,告発人の希望に沿う結果にはならないこと
(ウ)
この案件は警察ではなく行政に持っていくべきものであること
(エ)
芸術系では今回の指導は容認されること
の4点をもって告発の受理を拒否したものである。
しかし,
①
(ア)「『指導を受けた学生たちが相談や告訴に来ないのに,第三者だけが告発するのは状況的におかしいこと』をもって強要罪には該当しないとしたこと」については,
そもそも告発とは,被害に遭った者が被害届や告訴をおこなっていない事案に対して第三者がおこなうものであり,被害者が被害届や告訴をおこなっていないことをもって犯罪がおこなわれていないと断定できるのであれば,告発の制度自体が否定されることになる。
犯罪の被害者が警察に被害届や告訴をおこなえない事情は様々なケースで存在し,本件の事案も上記4(12)で告発人が主張しているように「学生がその道の大先輩で何らかの影響力をもつと思われる教授を訴えたりすることは,なかなかできるものではない」ことは,通常人の判断力があれば容易に認識できるものである。
そもそも,正規雇用での就職を希望する場合,学生は入社を希望する企業から所属ゼミの教授による推薦状の提出を求められることも少なくないが,教授を訴えたりすれば,当該教授に推薦状を依頼するなどといったことは到底不可能であることから,いずれにせよ正規雇用での就職が困難なものになる訳で,このことを鑑みれば,当該教授の行為について警察に訴え出る学生がいないことは十分説明が付くことである。
さらに,被害者が被害届や告訴をおこなっているか否かは告発の要件ではなく,斯様な理由をもって告発の受理を拒むことは許されるものではない。
したがって,富田林警察署員の当該主張は失当である。
②
(イ)「仮に受理しても,告発人の希望に沿う結果にはならないこと」については,そもそも「告発人の希望に沿う結果になるか否か」を判断するのは検察庁,ひいては検察審査会や裁判所であり,一警察官が,それも捜査をおこなう前から,独断で決めつけられるものではない。
また,「起訴されるか否か」「有罪となるか否か」の見込みは,告発の要件ではない。
当然,斯様な理由をもって告発の受理を拒むことは許されるものではない。
したがって,富田林警察署員の当該主張は失当である。
③
(ウ)「この案件は警察ではなく行政に持っていくべきものであること」については,告発人は本件を犯罪行為がなされたものと判断したものであり,その判断の根拠や犯罪性については告発状に記載されている。
そして,刑法上の犯罪行為を告発するのは警察署か検察庁に対しておこなうべきものである。
刑事訴訟法第239条には,
「何人でも,犯罪があると思料するときは,告発をすることができる」
とされており,また,東京高裁昭和56年5月20日判決においては,
「記載事実が不明確なもの,記載事実が特定されないもの,記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの,事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り,検察官・司法警察員が告訴・告発を受理する義務を負う」
との旨が示されており,犯罪捜査規範63条1項や平成15年4月1日付通達甲(副監.刑.2.資)第15号においても当該裁判例を踏襲して告発の受理について徹底した指導がなされているものである。
そして告発状にも記載していることであるが,本件の被害者であるAは,自己の破算手続に関して裁判所に提出した平成27年7月23日付け上申書において,
破産者の通っていた大阪芸術大学においては,破産者の所属していたゼミの教授から学生に対し,
「絵の勉強を続けたいなら,(時間が取られる正社員としての)就職は止めるべきである」
「時間の融通の利くアルバイト等を利用して生活費を稼ぎながら,絵の勉強の時間を取る必要がある」
「その代わり,卒業生は,30歳になるまでは,無償で相談にのる」
等の指導が行われていた。
事実,破産者の所属していたゼミ生20名の内,就職を行ったのは2名のみであり,破産者を含めた他の学生の多くは,破産者と同じようにアルバイトをして生活費を稼ぎながら現在も絵の勉強を続けている。
と記載している。
このことから,被告発人が師弟関係における自己の優越的立場を利用して,自分が担当するゼミの生徒に対し,無償の相談をおこなう条件として正規雇用での就職をおこなわないよう指導をおこなっていたこと,逆に言うと,正規雇用による就職をおこなった場合には無償では相談に乗らないことを仄めかし,芸術的技術の修得を志す生徒らの恐怖心をあおることで正規雇用による就職をおこなわないようにしむけていた事実が認められる。
そして,被告発人の当該行為により,被告発人のゼミ生のほとんどが現に正規雇用による就職をおこなっていない事実からも,ゼミ生らが被告発人の当該告知により実際に畏怖し,抵抗しがたい状況であったことは明らかである。
これらを元に告発人は強要罪に該当する行為がおこなわれたと判断し,その理由を明記した告発状を提出しようとしているのであるから,これに対して一警察官の判断で「警察ではなく行政に持っていくべきもの」と決めつけ,告発を受理しない行為は到底許されるものではない。
したがって,富田林警察署員の当該主張は失当である。
④
(エ)「芸術系では今回の指導は容認されること」については,むしろ芸術系のように徒弟関係が強い分野ほど生徒の将来に重い責任を持って指導すべきであり,教授としての立場の者がおこなうべきは師としての推薦や後押し,業界への入って行き方の指導などであるべきところ,「破産の要因を在学中に作る」などは言語道断と言うべきである。
また,文科省も今回の事案については問題ありとしているものである。
にもかかわらず,富田林警察署員はあくまで自己の価値観による判断により,「容認されるものであり,強要には該当しない」と独断で決めつけたものであり,斯様な個人の恣意的判断で告発を拒否することは到底許されるものではない。
したがって,富田林警察署員の当該主張は失当である。
5 当方の見解
上記4(13)のとおり,富田林警察署員の主張は,明らかに不当なものであり,通常人であれば明らかに無理のある,強引な理由付けであることは容易に認識できるものである。
これは,富田林警察署員が単に「自らの仕事を増やしたくない」という職務怠慢による告発状受理の拒否と考えるのが自然である。
東京高裁昭和56年5月20日判決においては「記載事実が不明確なもの,記載事実が特定されないもの,記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの,事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り,検察官・司法警察員が告訴・告発を受理する義務を負う」旨が示されており,犯罪捜査規範63条1項や平成15年4月1日付通達甲(副監.刑.2.資)第15号においても当該裁判例を踏襲して告発の受理について徹底した指導がなされているが,富田林警察署はこれらの裁判例や規範で示されている告発受理の取り扱いと明らかに異なる対応をおこない,少なくとも「犯罪が成立しないことが明白」とは到底言えるものではない本件について告発の受理を拒否したものであり,当該富田林警察署の行為は許されるものではない。
そして,当該富田林警察署の職務怠慢行為により,告発人には刑事訴訟法第239条において保証される「告発する権利」の行使を妨害されるという重大な法益侵害が発生しているものである。
以上の通り,富田林警察署には告発人の告発状を受理する義務があり,これを明確に拒否した富田林警察署員の行為は明らかに不当である。
ついては,本質問状により,大阪府警察警務部監察室の見解を上記2(2)のとおり求めるものである。
以 上
現在、回答待ち。
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最終更新日
2016.08.31 08:40:57
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